WEDGE REPORT

2014年10月9日

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――スパイは多いのか。

中田 イラクもシリアもスパイ国家のため、「イスラム国」には多くのスパイが入り込んでいる。殺害されたジャーナリストの一部はどうも本当にスパイだったようだ。イスラム法では成人男子の戦闘員の捕虜の処刑は合法なので、ある意味では殺されて当然ともいえる。ただ、私は個人的にはジャーナリストを殺害するのは反対だ。彼らには国に戻って「イスラム国」の実態を伝えさせるべきだと考えるからだ。

――支配地域で暮らす一般の民衆は、彼らを支持しているのか。

中田 一般の民衆は何を考えているかというと、日本と同じように、政治やイデオロギーに興味をもっている人は非常に少ない。99%の人は何の興味もない。たとえばアサドが戻ってくるなら「アサド万歳」と言うはず。

――なぜこのタイミングでこうしたことが起こったのか。

中田 非常に簡単に言ってしまえば、世界がおかしいから。イスラムの世界もおかしいし、世界全体がおかしい。イラクとシリアはイスラムの世界においても、世界レベルでみても、ほぼ最悪の残虐な政権。イラクは単に野蛮で、シリアはもっと計算された冷酷な野蛮さ。人を殺すことも、嘘をつくことも平気な人たち。そういうところを倒すには、それに対抗できるような、ある意味での強さみたいなものがなければならない。

――今後の展開は。

中田 ともかくアメリカが空爆を始めてしまったので、さっき言った99%のあまり意識のない民衆がかわいそう。意識のある人間は死んでも平気なのでよいが、一般の民衆がかわいそう。アメリカが彼らを根絶やしにすることは非常に困難であるし、「イスラム国」の活動には、今後日本人を含めて多くの人が参加するものと考えている。彼らの勢いはまだまだ衰えることはないだろう。

(聞き手・構成/Wedge編集部)

【中田考氏 プロフィール】
1960年岡山県生まれ。灘高等学校卒業後、84年東京大学文学部イスラム学科卒業。86年同大学大学院人文科学研究科修士課程修了。92年カイロ大学大学院文学部哲学科博士課程修了。在サウジアラビア日本国大使館専門調査員、山口大学教育学部助教授、同志社大学神学部教授などを歴任

※10月8日付けで中田氏が所属するカリフメディアミクスは家宅捜索を受けたことに関する見解を発表している。→ こちらをクリック

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