週末特集

2014年10月11日

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当局による鎮圧の懸念が高まる香港の学生デモ、空爆にも動じず敵味方多くの犠牲者を出しながらも勢力を広げる「イスラム国」、停戦合意も虚しく対立の長期化が予想されるウクライナ。混迷を深める世界情勢の裏側を読み解く。

香港学生デモ

10月11日、読売新聞は「香港デモ、1千人以上がテントなどで泊まり込み」とデモの再燃を報じているが、中国当局は鎮圧に向けて武装警察の投入を準備していると言われる。民主化要求の中国本土への飛び火や、中台関係にも配慮しつつ、中国政府は今後どのような判断を下すのか。予断を許さない状況が続いている。

香港デモ制圧に乗り出すか?
警察でも軍でもない、中国の「武装警察」とは

中国指導部が対話によってデモを収束できないと判断したら、実力行使に出ることはあり得る。投入されるのは武装警察だ。武警の人数は正確には把握されていないが、150万人を超えるとも言われる。(小原凡司・元駐中国防衛駐在官)

香港の学生デモ鎮圧に中国軍はやる気満々
天安門事件から中国政府が得た教訓は、民主化を求める若者たちの犠牲という失敗ではなく、力によって騒乱を押さえ込み、共産党一党支配を守り、その後の高度経済成長路線に繋げたという成功の経験なのだ。(弓野正宏・早稲田大学現代中国研究所招聘研究員)

香港での抗議行動への習近平の危機感、焦り
習近平が形式としての選挙や投票の権利行使に言及したこと、さらに台湾からの訪問団に対し彼らが受け入れていない「一国二制度」に言及することは、香港の抗議行動への対応として決して得策ではない。習氏の対応には焦りすら感じられ、習氏が強い危機感を抱いていることが分かる。(佐々木智弘・防衛大学校准教授)

本命を破ったダークホース・梁振英氏
香港行政長官選挙の意味するもの
70年代末から頻繁に訪中して土地問題に関する顧問的役割を務め、中国と深い関係を築いてきたC・Y・リョン(梁振英)氏。口さがない香港市民は、怠惰で無能な「ブタ」対冷酷で腹黒い「オオカミ」の戦いと評した。前者は高官としての実績がないタン氏、後者は野心的なリョン氏を指す。いずれも人望がない人物からの選択という悲喜劇的状況に立ち至ってしまったのである。(三宅康之・関西学院大学教授)

「イスラム国

10月9日、AFP BBNewsは「イスラム国、シリア国境の町に進攻 米「空爆だけでは陥落防げず」」と報じた。北海道大学の学生が戦闘員として渡航を計画し、それを支援する者がいたとして日本国内でも大きな話題となった。現在は米軍主導による空爆が強化されているが、「イスラム国」の勢いは衰えていないようだ。その理由と背景を読み解く。

北大生支援の元教授・中田考氏が語る「イスラム国」
アメリカ軍は強いイメージがあるが、本当に弱い。その理由の1つとして法の縛りが挙げられる。彼らは随分ひどいことをしているが、それでもシリアのアサドやイラクのフセインの軍隊に比べれば、一応軍規がある。軍規があるとやはり弱い。彼らは死ぬことをまったく恐れていない。喜んで死ぬ。一方の政府軍は死を嫌がって逃げる。だから弱い。

中東を3つの時間軸で捉える
中東地域には3つの時間軸が流れている。日々の政治や紛争といった短期的な時間軸、地政学的な変化のような中期的な時間軸、そして、社会文化的な変遷に見られる長期的な時間軸である。中東戦略を考えるには、これらの3つの時間軸を理解する必要がある。(岡崎研究所)

ISISはどのように力をつけてきたか
たった数千人の兵士によるモスルとその南部の電撃的な制圧は、イラクとアメリカの政府を驚かせた。しかしこの成果は、実際のところ、ISISが公然と進めてきた何年にもわたる国家建設の戦略の実現である。ISISは、イラクとシリアにカリフ国家を建設するという明確な目標を設定している。(岡崎研究所)

ウクライナ

10月3日に、AFP BBNewsが「ウクライナ東部ドネツクに砲撃、赤十字のスイス人職員が死亡」と報じているように、9月5日に合意された停戦協定は守られていないのが実態である。長期化が予想される対立の構造を読み解く。

ウクライナ 停戦成立でも真の和平は遠く
停戦が合意されたあとも、局地的な武力衝突が多々発生し、連日死傷者が出ているという現実がある。軍事的にも、政治的にもしばらくはロシアや米国をバックにしたウクライナ国内外の対立は続きそうである。(廣瀬陽子・應義塾大学総合政策学部准教授)

ウクライナ危機を巡るロシアの言い分
敗北寸前だった親露派武装勢力が突如として勢いを盛り返し、ウクライナ政府軍を東部地域から駆逐してしまった。もちろん、それを可能にしたのはロシアからの軍事援助とロシア軍による軍事介入だ。だが、ロシア政府はこのような事実を認めていない。ウクライナに入っているのは自発的な「義勇兵」や「休暇中」の現役兵士達だというのがロシア政府の立場である。財団法人未来工学研究所客員研究員)

佐藤優が分析するウクライナ危機の黒幕
ポロシェンコ政権の影の主役はトゥルチノフ最高会議議長。昔の秘密警察の長官で、以前KGB系の連中をすべて切り、米CIAと英SISのノウハウを入れて新しい秘密警察をつくった。米国との裏の連絡はこの人物が担い、空爆を決定したのも彼だ。この問題のケリをつけるのはプーチンだろう。取り引きする相手はウクライナでなく、オバマだ。

  
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