佐藤優が分析する
ウクライナ危機の黒幕とプーチン来日問題


WEDGE編集部 伊藤 悟 (いとう・さとる)

WEDGE REPORT

ビジネスの現場で日々発生しているファクトを、時間軸の長い視点で深く掘り下げて、日本の本質に迫る「WEDGE REPORT」。「現象の羅列」や「安易なランキング」ではなく、個別現象の根底にある流れとは何か、問題の根本はどこにあるのかを読み解きます。

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ウクライナ人とロシア人は民族意識の分節化が十分にできていない。こういうところで突然分化が始まると、差異を強調しなければならないので、対立がエスカレートする。

 ウクライナの政変はソチ五輪期間に発生した。普段ロシアの諜報員はウクライナに入り込んでいるが、五輪期間に国内でテロが起こっては国の面子が立たないため、在外の諜報員をロシアへ戻していた。普段であれば、事前に情報をキャッチし、殺し屋を雇って中心人物を暗殺するなどして抑えているはずだ。プーチン大統領が怒っているのは「お前らよくもこの隙を狙ってやりやがったな」ということ。

暗躍する裏組織

 親露派とは最近になって政治に関与した人たちだ。突然、自称「国家」の長なんかになってしまい、舞い上がっている偶然のエリートに過ぎない。指導者層はロシアの軍人というか、裏世界の組織の人間だ。GRUという昔のソ連軍参謀本部情報総局、今のロシア軍参謀本部情報総局。兵器販売ライセンスを保有しているので、資金力があり、独立王国になっている。予備自衛官の情報番みたいなもの。こういう連中がデタラメをする。

 プーチンは制御できるが、あえて見て見ぬふりをしている。西側や米国、ウクライナが言っているような、「プーチンが傀儡政権を作っている」という見方は間違っている。この連中を放っておけば何かするのは分かっているが放置している。不作為の責任がある。

佐藤 優( Masaru Sato)さん
作家、元外務省主任分析官。1960年生まれ。85年同志社大学大学院神学研究科終了後、外務省に入省。在ロシア日本大使館、国際情報局分析第一課などで勤務。2009年背任と偽計業務妨害の有罪確定。『国家の罠』で毎日出版文化賞特別賞、『自壊する帝国』で新潮ドキュメント賞および大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。
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