ベストセラーで読むアメリカ

2009年7月8日

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■今回の一冊■
ALWAYS LOOKING UP

Michael J. Fox, 出版社Hyperion, $25.99

いつも希望を忘れない生き様

ALWAYS LOOKING UP
NYタイムズ・ベストセラーリスト
単行本ノンフィクション部門
12週連続ベスト15入り

 ハリウッド映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の主演などで有名な俳優マイケル・J・フォックスの自伝だ。フォックスは俳優として人気の絶頂にあった1998年に、神経性疾患の難病であるパーキンソン病にかかっていることを公表。2000年に実質的に俳優業から引退した後、自分の生い立ちやパーキンソン病との闘いをつづった「ラッキーマン(原題はLucky Man)」を2002年に出版しており、本書はフォックスにとって2冊目の自伝となる。

 直訳すると「いつも上を向いて」となるタイトルの由来について、フォックスは自分の身長が低いため人と話すときには上を向かなければならないから、と冗談めかして記すなど、全編にユーモアを織り交ぜながら、主に過去10年の自分を振り返る。小柄な自分をネタにする冗談が気に入っているようで、ハリウッドでの古いことわざも次のように引用している。

 "A short actor stands on a box, but a short movie star has everyone else stand in a ditch." (p74)

 「背の低い俳優は箱の上に立たせられるが、背の低い映画スターの場合、ほかの出演者がみな溝の中に立たせられる」

 がんを克服し自転車ロードレースの最高峰ツール・ド・フランスで活躍したランス・アームストロングとの交流をはじめ、同じパーキンソン病にかかっているボクシング界の英雄モハメド・アリとのテレビCM共演の逸話、落馬事故で運動機能を失ったスーパーマン役で有名な故クリストファー・リーブとの会話など、いわゆる著名人とのエピソードの数々に興味は尽きない。

 パーキンソン病を治すための医学研究の助成を目指して財団を設立した際、ウォール街の名門投資銀行ゴールドマン・サックスから人材を引き抜き、マンハッタンの自宅近くに住む知人のヘッジファンド経営者の協力を得てチャリティーパーティを開いて資金集めをした経緯など、アメリカの富裕層がどのようにして慈善事業にかかわりを持つのかも手に取るように分かる。

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