韓国の「読み方」

2014年11月17日

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江口由貴子 (えぐち・ゆきこ)

防衛省防衛研究所研究員

2007年慶應義塾大学総合政策学部卒、09年同大学院政策・メディア研究科修士課程修了。2013年、韓国延世大学大学院政治学科修士課程修了。2010年より2012年まで外務省在韓国日本大使館勤務を経て、2013年より現職。専攻は日韓関係、韓国の外交安保政策。

 2014年7月、韓国アサン政策研究院が発表した報告書『北東アジアの秩序と韓中関係の未来:競争と協力の間』(韓国語)(“South Korean Attitudes on China”(英語版))は、韓国国民の対中認識を知る上で一つの手がかりとなる。

 巷では、現在の中韓関係が、国交正常化以降最も良好な関係を築いていると言われるが、韓国外交は同盟国である米国と、協力パートナーシップを掲げる中国との狭間で揺れ動いている。同報告書は、1.韓国人の対中認識、2.中国の脅威に対する韓国人の認識変化、3.文化協力と中韓関係に分け、各分野関連項目に関する世論調査を行い、まとめたものである。同報告書の内容を紹介しつつ、東アジア地域で展開される米中の外交ゲームを韓国はどのように見ているのか、中国の何にどれほど脅威を感じているのか、考えてみたい。

 同じく、同研究院が今年4月に発表した報告書『韓米関係の挑戦と課題:韓米関係と北東アジアにおける米国の役割に対する韓国人の認識』(韓国語)(“South Korean Attitudes on the Korea-US Alliance and Northeast Asia”(英語版))は、米韓同盟が直面する課題と、北東アジアにおける米国及び中国の役割に対する韓国の評価などが含まれており、韓国の米中関係に対する見方を理解する上で役に立つため、こちらも参考にする。(これら報告書は全てhttp://asaninst.org/で閲覧可能)

※世論調査の概要:毎年行われる年次調査は、民間世論調査会社に委託し、1500名~2000名の成人男女を対象に、電話調査及びオンライン調査によって実施。その他、各イシュー別に1000名の成人男女を対象に定期世論調査を実施している。

中国は競争相手か?協力相手か?

 同研究院が毎年(2013年以降は毎月)実施している国別好感度に関する世論調査の結果をみると、米国が平均して5点台という最も高い好感度を維持していることは想像に難くないが、次いで中国に対する好感度が高いことは注目に値する。2011年から2012年にかけて中国の好感度は3点台にとどまったが、それ以降着実に上昇しており、直近の調査では5点台に逼迫している。

 2013年はじめの調査では、中国を「競争相手」とみなす人と「協力相手」とみなす人の割合は半々であった。しかし2013年の中韓首脳会談後、中国を「協力相手」としてみる傾向は強まり、2014年6月時点では全体の約60%を占め、競争相手とみなす割合の32%を大きく上回っている。現在韓国では、中国を競争相手としてではなく、協力の対象としてみる国民が圧倒的に多いことがわかる。

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