サイバー空間の権力論

2014年12月5日

»著者プロフィール

 前回は世界中をつなぐ海底ケーブルの実状から、ケーブルをめぐって海底で行われている情報戦争について論じた(http://wedge.ismedia.jp/articles/-/4412)。我々の目には見えない海底奥深くでは、これまた我々の目には見えない情報が渦を巻いているが、今後ますます情報を巡る争いは水面下で増加していくだろう。

 ところで、昨今重要視されるもののひとつに人間の「感情」がある。喜怒哀楽等の感情は、それ自体がひとつの情報であり、人の感情を情報処理と同様の方法で対処可能にすることが、様々な意味で利益になることがわかっているからだ。感情を情報として扱うことは可能なのか。そもそも感情の情報処理とは何か。今回は感情をめぐる情報戦について考察したい。

フェイスブックの感情操作実験に大批判

(画像:istock)

 2012年、フェイスブックは英語を主要言語とする689003人のユーザーを対象にした実験を行った。まず言語の頻出度調査ソフトなどを用いることで、フェイスブックはユーザーの投稿内容をポジティブ・ネガティブに分類した。そして、フェイスブックのニュースフィードのアルゴリズムを変更し、それらポジティブ・ネガティブな投稿をそれぞれ10%〜90%の割合で意図的に減少させた。

 結果、ネガティブな投稿を減らしたユーザーの投稿は、ネガティブなものが減少し、逆にポジティブな投稿が増加する事などがわかった。変化率は1%以下のものも多いが、研究者によればそれでも、テキストの文字が人の感情を左右させる力があることがわかったという。すなわち、日々我々が目にするネットの記述内容が変化すれば、それが我々の感情にも関連するということがわかったのだ。

 この実験結果は2014年になって科学専門誌に掲載されたことから、フェイスブックがユーザーに知らせることなく人の感情を操作したと批判された。結果的にフェイスブックの倫理規定違反等には該当することはなかったが、それでも各方面に波紋が広がったのは事実だ(以下の記事に詳しい http://www.huffingtonpost.jp/kazuhiro-taira/post_7921_b_5541959.html)。

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る