不況を生き抜く管理会計

2009年7月24日

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田中靖浩 (たなか・やすひろ)

公認会計士

1963年生まれ。三重県四日市市出身。早稲田大学商学部卒。外資系コンサルティング会社などを経て独立開業。現在、田中公認会計士事務所所長。経営コンサルティングからセミナー、新聞・雑誌の連載などに幅広く活躍中。最近は落語家・講談師などとコラボによるライブイベントを展開中。日本公認会計士協会東京会・経営委員会委員長、経済産業省・財務管理人材育成システム開発事業審議委員、東京都立産業技術大学院大学「ものづくり経営人材育成講座」検討委員・講師などを歴任。著書は、『右脳でわかる!会計力トレーニング』、『経営がみえる会計』、『12日間速習プログラム決算書トレーニング』(以上日本経済新聞出版社)など多数。数点は海外にも翻訳出版されている。

 マンダリン・オリエンタルにザ・ペニンシュラ東京、ザ・リッツカールトン東京。ここ数年で都心には多くの高級ホテルがオープンした。一方で国内系のホテルが経営不振だというニュースや、地方の老舗旅館が破綻したなどと暗いニュースも聞こえてくる。好調と不調のニュースがいっぺんに聞こえてくるホテル業界。これはいったいどういうワケなのか?

ホテル業はハイリスク・ハイリターン

 管理会計的にひとつのヒントを提供すると「ホテルは固定費比率の高いビジネスである」という事実。ホテルは「売上に比例して掛かる変動費」が少ないビジネスだ。

 シーツ・タオルのクリ-ニング代、新聞代、備品の補充代、部屋の水道光熱費。こうした変動費は、高級ホテルでもおそらく1000円を超えることはないだろう。人件費と場所を維持するコスト(家賃、減価償却費、設備代など)が圧倒的に大きい固定費体質だ。こうした固定費中心のビジネスは売上の増減によって利益が大きく動く「ハイリスク・ハイリターン」なのだ。

 図の総コストと売上が等しい損益分岐点を真ん中に見て、右側が利益ゾーン、左側が損失ゾーンだ。ホテルのような固定費中心型では、売上の上下によって大きく利益が変動することがおわかりいただけるだろう。

低価格化が進むビジネスホテル成功の条件

 そんなホテル業は値下戦略成功条件1を見事にクリアしている。

値下戦略の成功条件その1 : 「商品1個当たりの変動費が少ないこと」
値下戦略の成功条件その2 : 「値下げによって販売数量(Q)が大幅に増加すること」

 ホテルは変動費の少ない固定費体質なので条件1はOK。問題はもうひとつの成功条件2「値下げによって販売数量(Q)が大幅に増加すること」だ。

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