「子どもの貧困」を
社会的投資の観点から考える

『子どもに貧困を押しつける国・日本』 山野良一氏インタビュー


本多カツヒロ (ほんだ・かつひろ)  ライター

1977年横浜生まれ。2009年よりフリーランスライターとして活動。政治、経済から社会問題まで幅広くカバーし、主に研究者や学者などのインタビュー記事を執筆。現在、日刊サイゾーなどに執筆中。ブログ:http://golazo-sala.cocolog-nifty.com/pinga/

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14年7月に厚生労働省が発表した「子どもの相対的貧困率」(12年のもの)によると、調査を開始した1985年以来最悪の16.3パーセントだった。つまり、貧困状況にある日本の子どもは6人に1人ということになる。ここ数年、ニュース番組や新聞などでも無戸籍など貧困につながる話題がのぼることがあっても、一向に改善されないのはどうしてなのか。

 『子どもの貧困を押しつける国・日本』の著者である千葉明徳短期大学教授で、「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク世話人の山野良一氏に、子どもたちの現状や貧困が及ぼす影響、そして改善するための方法などについて話を聞いた。

――08年の山野さんの前著『子どもの最貧国・日本』(光文社新書)が出た頃から、子どもの貧困について、ニュースなどでも目にするようになりました。反響が大きかったのではないですか?

山野:同じ年に『子どもの貧困ー日本の不公平を考える』(阿部彩著、岩波新書)も出て、今までみなさんも薄々気がついてはいたし、感じていたことを「子どもの貧困」という明確な概念にしたことで、火がついた感じはしましたね。

――しかし、子どもの相対的貧困率は調査開始以来、過去最悪。そして本書を読んでもっと驚いたのは、貧困ラインという基準から大きく下回る子どもたちの状況と貧困ギャップという指標です。

山野:元々、貧困ギャップについて日本は高いのではないかと指摘されていましたが、実際に私も今回計算してみて驚きました。貧困ギャップとは、貧困の深さを表す指標で、貧困率が高いと言っても、基準ぎりぎりの人が多いのと基準から大幅に下回る人が多い場合は違うはずです。具体的には貧困ライン未満の子どもたち、つまり貧困な子どもたち全体の所得の中央値が、貧困ラインの所得とどれほど離れているかを表します。

 まず、子どもの貧困率とは、貧困ライン未満で暮らしている子どもの割合を示したものです。この貧困ラインとは、その国に住むすべての人の所得を並べたときの中央値の50パーセントの額とユニセフやOECD、厚労省の算出方法では定められています。そうして計算すると、12年時点での日本の貧困ラインは122万円ですが、この数字は世帯の人数を調整した個人単位の額です。なので、これを世帯全体に計算し直すと、親子2人世帯で月額約14万円、親子4人世帯で月額約20万円ほどとなります。ただし、注意しなければいけないのは、この額ではすでに税金や社会保険料は差し引かれていますが、児童手当や児童扶養手当などは含まれていることです。

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著者

本多カツヒロ(ほんだ・かつひろ)

ライター

1977年横浜生まれ。2009年よりフリーランスライターとして活動。政治、経済から社会問題まで幅広くカバーし、主に研究者や学者などのインタビュー記事を執筆。現在、日刊サイゾーなどに執筆中。ブログ:http://golazo-sala.cocolog-nifty.com/pinga/

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