温暖化対策税で懐豊かな環境省
使いみちに疑問の声

膨らむエネルギー特会 政策のPDCA強化を


杉山大志 (すぎやま・たいし)  IPCC第5次評価第3部会報告書 統括執筆責任者

1991年東京大学理学部物理学科卒業。93年東京大学大学院工学研究科物理工学修士了、(一財)電力中央研究所入所。国際応用システム解析研究所(IIASA)研究員、国際学術会議科学執行委員、京都議定書CDM理事会パネル委員、産業構造審議会専門委員、IPCC第四次評価第三部会及び統合報告書主著者を経て、現職。(一財)電力中央研究所上席研究員。

エネルギー問題を考える

(画像:iStock)

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日本の温暖化対策のあり方を検討する政府審議会で環境省が施策の説明をしたところ、省エネ・新エネ・技術開発の補助金など、経産省との重複が目立ち、無駄遣いが起きているのではないかという疑問の声が多くの委員から一斉に上がった。政府の温暖化対策の効率性が問われている。

Oleksandr Bilozerov / Thinkstock

 1月23日に開催された産業構造審議会・中央環境審議会の合同会合。同合同会合の下に設置された専門家会合での異論噴出ぶりが報告された。政府の温暖化対策の取り組みのうち、環境省分として省エネルギー・新エネルギー・技術開発の補助金事業が説明されると、委員から「経済産業省との重複があるのではないか」との指摘が相次いだ。

 環境省の説明資料 によれば、環境省の施策として「CO2排出削減事業」に補助金を出している。だがこれは、経産省の実施している省エネ・新エネの補助事業と類似のに見える。また更には窒素ガリウム(GaN)の技術開発補助も実施しているが、これも文部科学省・経産省で実施されている技術開発補助と類似の施策である。

 環境省の説明を受けて委員からは異論が続出した。

「率直に言って大変驚いた。特に予算の使われ方。類似した政策対象に対して、類似した政策手段を複数の省庁で講じている。予算は全体の政策体系の中で位置づけられ、それぞれの政策的知見、専門的知見を踏まえて実施されることが効率性を図る観点から必要」(小倉康嗣委員/市川代理)
「省庁間で重複した取り組みがある。しかも、その取り組みの効果を確認し改善を図るというPDCA(plan-do-check-act)が弱い」(佐藤泉委員、竹内純子委員)
「環境省施策で窒素ガリウム(GaN)の開発・補助とあるが、重複感がある。他省庁との連携はどうなっているのか」(高橋睦子委員)
「省庁間でオーバーラップがある。調整が必要というのは、私もそう思う」(山地憲治座長)

3年で3倍に増えるエネルギー特別会計

 環境省のエネルギー特別会計予算は年々増加しており、2014年度には1113億円に達した。これには石油石炭税の増税分である「地球温暖化対策税」が充当されている 。地球温暖化対策税は段階的に税率が引き上げられことになっている。13年度は約900億円だったが、14・15年度には1700億円、16年度には2600億円となることが予定されている。

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「エネルギー問題を考える」

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杉山大志(すぎやま・たいし)

IPCC第5次評価第3部会報告書 統括執筆責任者

1991年東京大学理学部物理学科卒業。93年東京大学大学院工学研究科物理工学修士了、(一財)電力中央研究所入所。国際応用システム解析研究所(IIASA)研究員、国際学術会議科学執行委員、京都議定書CDM理事会パネル委員、産業構造審議会専門委員、IPCC第四次評価第三部会及び統合報告書主著者を経て、現職。(一財)電力中央研究所上席研究員。

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