WEDGE REPORT

2005年6月20日

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加藤秀樹 (かとう・ひでき)

構想日本代表

旧大蔵省入省。1997年に退職し、政策シンクタンク構想日本を設立。2006年4月より東京財団会長を兼務。内閣府行政刷新会議議員兼事務局長。著書に「ひとりひとりが築く新しい社会システム」(ウェッジ)「入門 行政の『事業仕分け』」(ぎょうせい)など多数。

 公務員の退職金未払いが引き金で国債が暴落、インフレと不況が同時に起こり企業のリストラが加速、中高年の自殺者は6万人、「日本は治療する勇気を持てなかった死にゆく巨象」と断じる某国幹部—村上龍が描く近未来の日本の姿だ。

  この『半島を出よ』が今話題になっているのは、こんなストーリーにある種の現実味を感じている人が多いからでもあるだろう。

 現在、国と地方の債務あわせて約1000兆円(国債・地方債、長短借入金、政府保証債務など)。しかも、国債発行に占める借換債の割合は、年々増加している(05年度は、発行総額約170兆円のうち6割強)。冒頭のようなことが現実に起こることを防ぐにはどうすればいいか。

 その前に、なぜここまで財政が悪化したのか。まずは公的なサービスをすべて行政(官)に任せてきたことだ。(我々が公と官という言葉を同じ意味で使っているのはその証拠だ。最近ようやく教育や介護など公の分野をNPOなど民が一部担うようになってきた)

 次に、行政はその公共サービスを徹底して全国一律(規制、仕様、予算などあらゆる面で)に行ってきたことだ。それは、道路の造り方から教室の天井の高さにいたるまで、生活の隅々に及んでいる。国の規制や基準に従えばカネ(補助金や地方交付税)が来るという仕組みは、国の「支配」と地方そして住民の「依存」を生んだ。その仕組みが無駄な事業を増やし、国と地方の財政悪化をもたらしたのだ。しかもこの仕組みが60年間も続いているのだからたまらない。
特効薬などもちろんないが、歳出削減のために構想日本と地方自治体が行ってきたいくつかの試みをご紹介したい。

職員も交えての議論で歳出4割カット

 最初は「事業仕分け」だ。構想日本は、住民、自治体の有志議員や職員、ニュービジネス協議会などと協力し、これまで8県4市(注1)で「事業仕分け」作業を行ってきた(注2)。これは、地方自治体のすべての事業を予算項目ごとに次のような手順で洗い直していくものだ。

 まず、その事業がそもそも必要かどうか考える。行政であれ民間であれ、第三者による提供が必要なものかどうか。つぎに、必要と判断された事業について、民間で行うべきか行政が行うべきかを考える。最後に、行政と判断された事業について、国、都道府県、市町村のうち本来はどこで実施すべきかを考える。これを自治体の担当職員とわれわれ外部の者が侃々諤々の議論をしながら仕分けていくのだ。

(注1) 岩手県、秋田県、宮城県、新潟県、長野県、岐阜県、三重県、高知県と新潟市、横浜市、三浦市、多治見市。ただし、横浜市は経済局の事業のみ「仕分け」を実施したため図1の市町村の平均算出には入れていない。
(注2) 11県の知事と構想日本からなる「国と地方の税制を考える会(座長:宮城県・浅野知事)の活動の一環として02年にスタート。

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