ラテンアメリカの優等生、チリの首都サンチャゴで官民協力によるレンタサイクル、名付けて「バイクサンチャゴ」が成功し、広がりを見せている。サンチャゴは人口512万人の大都市で、渋滞や大気汚染が深刻なため、市長らは「自転車による環境と人間性の改善」をこの自転車事業に託している。
試みはまず2008年に首都の1区で細々と始まり、これに市、民間団体、銀行、企業などが賛同し、13年に駐輪所30カ所に自転車300台を置く「バイクサンチャゴ」のシステムがスタートした。参加する区は現在、全32区のうち14区にまで増え、約200カ所に計2100台が配置されている。1日平均約2000人が利用している。
魅力は安さにある。市民はクレジットカードを使って会員登録し、会費は1カ月で約1000円。30分までは無料で、それを過ぎると30分ごとに90円ほど追加料金を払うことになる。だが駐輪所が市内のあちこちにあるため、30分以内に別の駐輪所で乗り換えれば、長い時間無料で乗りつぐことができる。
チリはいち早く民営化など市場経済を推し進め、経済指標が良く、周辺のアルゼンチンなどと比べ汚職や不正がはるかに少ない国として知られる。それでも、レンタル自転車はすぐに盗まれるという危惧があり、事業開始時には、皆そこを最も心配していた。
「バイクサンチャゴ」では全自転車にGPSを装備し、自転車の行方を把握できることもあり、今のところ盗難はさほど目立っていない。
レンタサイクル、自転車シェアリングは日本でも京都など観光地や、東京の港区など限られた範囲で始まっているが、利用料は1日1500円などと高く、日々使う物にはなっていない。
例えば東京の銀座で1台借りて用件のある新橋で返し、再び新橋で借りて三田まで乗って返す、といったことが安い会費だけでできるなら、とても便利だろう。
問題は道路など自転車のための交通環境だが、サンチャゴの場合、行政が中心となって事業にタッチにしているため、積極的な整備も進められている。
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