サウジアラムコによる
新規株式公開(IPO)の狙い


畑中美樹 (はたなか・よしき)  国際開発センター エネルギー・環境室研究顧問

富士銀行、中東経済研究所などを経て現職。著書に『オイルマネー』(講談社現代新書)、『中東湾岸ビジネス最新事情』(同友館)ほか。

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世界最大の石油企業サウジアラムコは1月8日、新規株式公開(IPO)の可能性を検討しているとの声明を発表し、サウジ情勢を追う国内外専門家や石油・金融関係者に衝撃を与えた。

 大方の解釈は、

 ①サウジが低迷する油価のため巨額の財政赤字対策に苦慮している可能性を示すもの

 ②同国が油価は数年にわたり低水準で推移すると見ていることを示唆したもの

 ③サウジには依然巨額の財政赤字に対応しうる手段が十分にある点を誇示したもの、といったものである。   

サウジアラムコ自体の上場はありえない

iStock

 それぞれ一理あるのだが、筆者はサウジ政府の狙いは別にあると見る。その前に指摘しておきたいのが、IPOとなれば投資家に各種の経営情報、例えば、正確な原油埋蔵量や財務状況、配当金政策などを開示せねばならない。しかもサウジアラムコは毎年収益の平均90%超を国庫に上納してきた。この事実を考えれば、サウジアラムコ自体の上場はまずありえないことがお分かりいただけるだろう。

 では、サウジ政府は何のためにサウジアラムコのIPOに言及したのだろうか。その鍵を握っているのが制裁の解除された中東のライバル国イランの動きである。今後イランは時間をかけながら喪失した原油販売シェアの奪回を目指し、市場の許す限りの数量の輸出を図ってくるはずだ。

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著者

畑中美樹(はたなか・よしき)

国際開発センター エネルギー・環境室研究顧問

富士銀行、中東経済研究所などを経て現職。著書に『オイルマネー』(講談社現代新書)、『中東湾岸ビジネス最新事情』(同友館)ほか。

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