華麗なるハリウッド映画

2016年4月30日

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川尻勝則 (かわじり かつのり)

アメリカ・クラシック映画研究家

1937年、長崎県生まれ。早稲田大学第1文学部を卒業後、出版社に勤め勤務先の仕事柄、米国出版界やアメリカ・マスコミ論を学びまた学生時代から趣味だったハリウッド映画とその産業の歴史の研究を続け今日に至る。著書に、ハリウッド映画の黄金時代の細部を究明した『ハリウッド物語ー去年(こぞ)の雪、いま何処』(作品社)がある。

 今年2月の28日、第88回目のアカデミー賞の授賞式で5度目のノミネートのあとやっとレオナルド・ディカプリオが主演男優賞のオスカーを手にすることができた。まずは喜びのお祝いをしたい。

第88回アカデミー賞でオスカーを獲得したレオナルド・ディカプリオ。映画「タイタニック」で共演したケイト・ウィンスレットと喜びの抱擁を交わす(Getty Images)

公正を欠く秘密主義的組織運営

 しかし今年のアカデミー賞授賞式には黒人がひとりもノミネートされていないのは大きな問題だ。こんなアカデミー賞の授賞式には参加したくないと人種問題を含んでのひと騒動が持ち上がった。慌ててアカデミー協会は2020年までに女性やマイノリティの会員数を倍増すると発表。1927年の第1回アカデミー賞設立以来秘密主義的な組織の運営方法に公明さを欠き何とも問題の多いイベントをこれまで長い歴史のなか何回も繰り返してきたのがアカデミー賞の実態である。よって少しでもその歴史をかじっている人には今回の騒動も何も驚くほどのことではないと思ったはずだ。

 こんなアカデミー協会をわかりやすく日本の四字熟語で言い当てれば、魑魅魍魎、曖昧模糊、紆余曲折、疑心暗鬼、奇々怪々、一喜一憂、一長一短、虚々実々、半信半疑、言語道断、もうこれくらいにしておこう。このような四字熟語がぴったりするようなアカデミー賞の88回目の授賞式では急遽引っ張り出されて司会を務めたのが黒人コメディアンのクリス・ロック(2度目の司会役)。「もし司会もノミネート制だったら、この仕事は回ってこなかっただろう」とドキッとするようないささか嫌味をこめた彼のセリフで授賞式が始まった。さらに次回からは黒人部門というアイテムを設けてくれないかなと冗談まで口にするクリス。

 こんなスピーチが飛び出したのはちょうど2011年作品の「アーティスト」がアカデミー賞をたくさん受賞するのだがこの時、素晴らしい演技をした犬のアギーにもアカデミー賞をあげたらどうかと真剣に議論されたこともあって結局協会はあくまでも賞の対象は人間に限るのルールがあるという理由で成立していない。しかし「犬版アカデミー賞」にあたる“ゴールデン・カラー賞”の第1回目に犬のアギーはめでたく受賞している。クリスはこの件を知ったうえでのジョークだったのだろう。

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