WEDGE REPORT

2016年6月30日

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 オバマ米政権のテロとの戦いの柱である無人機作戦について、国防総省と中央情報局(CIA)による“縄張り争い”がこのほど決着した。オバマ大統領の裁定によるもので、国防総省が主導権を掌握する一方で、CIAもパキスタンとアフガニスタンで作戦を続けることが可能になった。 

アメリカ軍のドローン「プレデター」(iStock)

双方のメンツ立てる

 オバマ大統領は就任以来、米地上戦闘部隊を2度と紛争地へ派遣しないことを「オバマ・ドクトリン」として最大公約に掲げてきた。ドクトリンはテロとの戦いについても、武装無人機(ドローン)でテロリストを暗殺する「標的殺害」を秘密裏に推進してきた。

無人機の活動範囲はパキスタン、アフガニスタンからイラクやシリア、ソマリア、リビアなど西南アジアからアフリカにまで拡大した。これまでにイスラム過激派3000人以上を殺害し、パキスタン、アフガン国境の山岳部族地帯を拠点としていた国際テロ組織アルカイダの本部組織をほとんど壊滅に追い込む成果を挙げた。

しかしイエメンで、結婚式の車列が無人機に誤爆され、民間人多数が死傷するなど民間人の巻き添え被害も相当の数に上っている。こうした民間人の被害が高まるにつれ、秘密のベールに包まれた無人機作戦について批判が強まった。このためオバマ大統領は2013年5月、米国防大学で初めて無人機作戦に関する演説を行い、作戦の透明性を確保していくと言明した。

オバマ大統領はこの演説で、透明性を確保するために国防総省の特殊作戦軍に無人機作戦の主導権を与えることを公約。それ以来、水面下で国防総省とCIAが無人機の所管をめぐって熾烈な縄張り争いを展開してきた。米議会の上下両院の情報委員会も、国防総省派とCIA派に分かれて対立した。

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