前向きに読み解く経済の裏側

2016年9月19日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

久留米大学商学部教授

1981年、東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。主に調査関連部署に勤務した後、2005年に銀行を退行して久留米大学へ。著書に『増補改訂 よくわかる日本経済入門』(朝日新書)、『老後破産しないためのお金の教科書』(東洋経済新報社)、『世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書』(宝島社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)など多数。

 人は、喧嘩をします。国は、戦争をします。それが御互いに損だとわかっているのに、なぜ喧嘩や戦争が絶えないのでしょうか? 今回は、囚人のジレンマという考え方で、当事者の意思決定プロセスに焦点を当てて考えてみましょう。

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「相手を攻撃した方が得」と考えるのが喧嘩

 ある財産を巡ってA氏とB氏の利害が対立するとき、2人は各々どのように行動するでしょうか。選択肢は2つあります。1つは平和追求で、「足して2で割ろう」と主張しつづけること、今ひとつは「攻撃」で、相手を批判、非難したり殴ったりして自分の主張を押し通そうとすることです。

 2人とも平和を追求すれば、2人とも財産の半分は得られます。1人が攻撃して1人が平和を追求すれば、攻撃した方は満足、平和を追求した方は得るものが無く、悲惨です。御互いに攻撃すれば、両者とも財産の半分は得ますが喧嘩の後味の悪さが残り、不満足な結果に終わります。この時、A氏はどうするでしょうか?

 Bが平和を追求するとします。自分も平和を追求すれば、財産の半分が手に入りますが、自分が攻撃すれば財産はすべて自分のものです。Bが攻撃してくるとします。自分が平和を追求すれば財産は得られず、攻撃だけされます。自分も攻撃すれば、財産の半分は得られます。つまり、Bが平和を追求した場合も攻撃してきた場合も、自分としては攻撃した方が得なのです。

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