2024年12月22日(日)

ベストセラーで読むアメリカ

2016年9月29日

■今回の一冊■
CRISIS OF CHARACTER
筆者 Gary J. Byrne
出版社 Center Street

 アメリカでは11月8日の大統領選挙に向け、民主党のヒラリー・クリントンと共和党のドナルド・トランプの両候補の対決が一段と火花を散らしている。大統領選が最終ラウンドに突入するのを前に、この夏のアメリカのベストセラーにおける両候補の健闘ぶりを振り返ってみたい。

反ヒラリー本のなかでも特に人気

『CRISIS OF CHARACTER』(Gary J. Byrne, Center Street)

 結論から言うと、ベストセラーリストではヒラリー・クリントンが上位を独占し圧巻の強さをみせた。とは言っても、ヒラリー・クリントンを個人攻撃するアンチ・ヒラリー本の話だ。

 例えば、ニューヨーク・タイムスの8月14日付の単行本ノンフィクション部門のベストセラーリストではトップ3がすべて反ヒラリー本だった。アンチ本が売れるということは逆に、その存在の大きさを映していると好意的にとるべきなのだろうか。その不人気ぶりには驚く。

 第3位のARMAGEDDONはビル・クリント大統領の選挙参謀を務めたこともあるDick Morrisと、その妻Eileen McGannによる反ヒラリー本だ。実は、このコンビは民主党政権を攻撃するベストセラーを相次ぎ上梓してきた実績を持つ。本コラムでは2009年9月に、この2人が書いた反オバマ本CATASTROPHEを紹介している。

 8月14日付のランキング2位はHILLARY'S AMERICAというやはり反ヒラリー本だった。アメリカの保守派の論客による書で、ヒラリー・クリントンが大統領に選ばれると大変なことになると警鐘を鳴らす。そして、この週のランキングの堂々トップが、本コラムで今回とりあげるCRISIS OF CHARACTERだ。

 この本はこの夏、反ヒラリー本のなかでも特に好調な売れ行きだった。7月17日付ランキングに第1位で初登場すると、そのまま8月中旬までトップの座を5週連続で守り続けた。


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