使えない上司・使えない部下

2016年11月15日

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 今回は、コンサルティング会社・トランストラクチャの代表取締役で、ベテランの人事コンサルタントである森大哉氏に取材を試みた。

 20数年のキャリアで、数百を超える企業の人事制度や組織改革などに関わった。全国各地での講演やセミナーにも飛び回る。

 大企業から中堅、外資、ベンチャー企業までの多数の現場をみてきた、敏腕コンサルタントの目に映る、「使えない部下・使えない上司」とは……。

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「なぜ、自分はこんなにダメなのだろう」

 上司が部下を育成する際、少なくとも2つのタイプがあると思います。1つは、重箱の隅をつつくかのごとく、実に細かいところにまで仕事の指示・命令をするタイプです。もう1つは、プレイング・マネージャーとして部下の育成・指導をするものの、プレイヤーとしての仕事が一杯となり、部下の育成に手が回らない人たちです。

 前者のタイプは、たとえば、部下が考えた企画の論理の矛盾を指摘し、返答ができないようにして追い詰めていくのです。部下が何もいえなくなると、勝ち誇ったようになる人もいます。「これはダメだ」「あれもダメ」と回答の出口を1つずつ防ぎ、反論ができないようにすることもあります。

 幸いなことに、私は部下の頃、こういう上司とは巡り合いませんでした。ほかの部署には、このタイプの上司がいましたが、部下が精神的に滅入り、つぶれてしまうのです。「なぜ、自分はダメなのだろう」と自信をなくし、辞めていきます。

 コンサルタント業界にも、部下を潰してしまう管理職はいます。コンサルタントとして仕事をするうえで必須ともいえる「論理性」を鍛える思考訓練をしているつもりでも、部下の考えの矛盾を指摘するのがゆきすぎるあまり、精神的に追い詰めてしまうのです。

 これは、困り者ですね。私は現在、コンサルティング会社を経営する身ですが、こういう管理職がたくさんいると、部下が育たたないから、会社が成り立たなくなります。

 部下に向けて発する言葉の語尾を聞いていると、部下を本気で育てようとしているかどうかは、察しがつきます。たとえば、ある上司は企画書をみて「ここが問題じゃないか? どこがいけないと思う?」と投げかけています。部下に、考える余地を残しているのです。

 部下を理詰めにするタイプは、「それは違う」「これも違う」と出口を防いだうえに、「どうするんだよ!」「誰が責任をとるんだ!?」と追及することがあります。これでは、部下は答えようがないでしょう。

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