WEDGE REPORT

2016年11月22日

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風樹茂 (かざき・しげる)

作家、国際コンサルタント

作家、国際コンサルタント(kazakishigeru@gmail.com)。1956年、北海道生まれ。東京外国語大学スペイン語学科卒業。メキシコ留学後、中南米の専門商社を経て、南米アマゾンの奥地でODAプロジェクトの鉄道建設にかかわる。その後は、シンクタンク、研究所勤務などで、首相向けの政策提言、ODA援助、海外投資、NGOプロジェクトに従事。イスラム開発銀行のコンサルタントも経験し、30数カ国を踏査。石油関連事業でカタール、ベネズエラに駐在。

 昨年のフランス同時多発テロの首謀者モロッコ系ベルギー人・アブデルハミド・アバウドが潜み、警官と激しい銃撃戦を繰り広げたパリ郊外サンドニはフランスの栄光に囲まれている。だが、普通のパリジャンは治安が悪いといって訪れることはない。そんな街に潜んでみた。

学術、王族、サッカーの栄光に埋もれる街

サンドニ ここもパリ郊外? もの凄い活気が

 私のパリの定宿があるのは、バスチューユ広場から歩いて数分の距離、世界テロ戦争の第二幕を切った「シャルリー・エブド」社のオフィスは目の前だ。そこから地下鉄に乗り、3度乗り換えてサンドニの大学駅に着く。気持ちのよい郊外で、ノーベル賞受賞者を多く輩出しているパリ大学がある(サンドニは哲学・芸術関連)。

 卒業者には、人類史にきら星となって輝く巨人が数限りない。ヴィクトル・ユーゴー、シモーヌ・ド・ボーヴォワール、ノーマン・メイラー、クロード・レヴィ=ストロース、キュリー夫人など。変わったところでは、シリアやイラクのバース党創始者といわれるシリア人ミシェル・アフラク(哲学者・社会学者)がいる。周囲は緑が多く瀟洒な一軒屋が続く。

 ひとつ駅を戻ってみる。美しいステンドグラスに飾られたサンドニ・バジリカ大聖堂がある。地下には10世紀から1789年までの王族が埋葬され、ルイ16世とマリー・アントワネットの遺骨も数奇な運命を経たあとで最後はここに納まった。

 そこから数分歩くと、巨大なスタッド・ドゥ・フランスの姿が迫ってくる。1998年ワールドカップにフランスがブラジルを3-0で下し、初優勝した栄光の球場である。アルジェリアの少数民族ベルベル人の両親の元に生まれたジダンが2得点をあげる大活躍。私が訪れる一週間前にはユーロ決勝ポルトガルVSドイツが行われた。また、昨年11月13日にパリ同時多発テロで狙われ、周囲で爆発があった場所でもある。

狙われた栄光のスタッド・フランス

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