サムライ弁護士の一刀両断

2016年12月12日

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河本秀介 (かわもと・しゅうすけ)

弁護士

敬和綜合法律事務所所属。
東京大学卒業後、三菱重工業での勤務経験を経て、2007年に弁護士登録。
以後、会社関係訴訟、企業経営への助言、株主総会指導、M&Aアドバイスなど、コーポレート分野を中心に、幅広い内容の業務を遂行している。

 株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)は、先日、自社が提供していた医療キュレーションサービス「Welq」について、不適切な記事が多数掲載されていたとして謝罪しました。

 Welqは、昨年頃にスタートした医療情報の提供を目的とするウェブサイトですが、最近になって掲載された記事の中に医学的根拠が不確かな情報や、著作権上の問題がある記事が多数含まれているという批判が殺到し、サイトの休止に追い込まれていました。先日の会見で、DeNA側は、サイト内に不適切な記事が多数含まれていたことを認め、謝罪しています。

 近年、Welqのように、「キュレーションサービス」を謳うウェブサイト(「キュレーションメディア」)が見られるようになりました。キュレーションメディアは、比較的新しい情報発信の形態ですが、その利便性から急速にインターネットに浸透しています。他方で、キュレーションメディアには、以前から、様々な問題が指摘されています。

 今回の騒動は、今までくすぶっていた問題点が一気に表面化した様相を呈しています。また、Welqの休止を受けて、DeNA社が自社の他のキュレーションメディアも休止するなど、一連の騒動は今後波及する可能性がありそうです。今回は、キュレーションメディアの問題について、特に著作権の面から解説したいと思います。

iStock

「キュレーションメディア」とは

 キュレーションメディアは、インターネット上の既存の情報、例えば企業や個人が運営するウェブサイトや掲示版、ブログなどの記事を、一定のテーマに基づき収集し、それを再構成して、別の記事として公開することを目的としたウェブサイトです。

 キュレーションメディアは、「他の記事を要約して記事にする」という性質から「まとめサイト」などと呼ばれることもありますが、むしろ一般的に浸透しているのはこちらの呼び方の方でしょう。

 キュレーションメディアは、程度の差こそあれ、コンテンツの多くの部分を、元となる記事に依存する形で成り立っています。中には他サイトの記事の一部を抜き出して掲載し、数行の解説を付け足したものに、独自のタイトルをつけて公開しているものも少なくありません。
キュレーションメディアは、執筆や取材にはそれほど費用や労力がかかりませんので、低コストでサイトを運営することが可能です。

 他方で、キュレーションメディアの中には、元となる記事の執筆者やサイト管理者に許可を得ることなく転載している場合が数多く含まれていると指摘されています。

 キュレーションメディアに記事を無断転載された側としては、費用と労力を使って執筆した記事を無断で利用された上に、自サイトへのアクセスを奪われることになりかねません。また、場合によっては、アクセス誘導のために意図しないタイトルまで付けられるわけですから、面白くないかもしれません。

 このような関係から、キュレーションメディアには、著作権法上の問題点が常に潜んでいます。

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