チャイナ・ウォッチャーの視点

2010年4月28日

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 本コラムで私がかねてから指摘しているように、中国国内では2009年半ばから、史上最大の不動産バブルが膨らんできている。

 国土資源部(省)の公表した統計数字によると、09年には中国全土の不動産平均価格は25.1%も伸びた。上海・北京・深圳等の6つの大都市に至っては、去年1年間で不動産価格の伸び率は何と60%にも達したと人民日報の関連記事が報じている。

気の狂った賭博場と化した不動産市場

 たったの一年間で、これほどまでの不動産価格の値上がりは、不動産バブルの先輩格である日本ですら経験したことのない史上最大の不動産バブルであろう。実は今年に入ってからも、不動産価格急騰の傾向は依然として続いている。国家統計局が4月14日に公表した数字によると、今年の1月~3月、中国の70の大中都市での不動産価格は毎月平均にして10%程度の伸び率を記録したという。

 中国人のある専門家の表現を拝借すると、去年からの中国の不動産市場は「気の狂った賭博場」と化している観がある。

 それは一体どういうことなのか。かつて私のコラムでも分析したように、その直接の原因は、09年に中国政府が行った大盤振る舞いの放漫融資にあった。

 08年秋の世界金融危機の発生以来、その影響を受けて、中国経済の最大の牽引力である対外輸出は大きな打撃を被った。これまで毎年25%以上の伸び率を記録してきた対外輸出は、09年になると16%のマイナス成長となり、輸出関連企業を中心とした全国の中小企業の4割程度が潰れた。危機に立たされた中国経済を救うために、中国政府は09年初頭から、世紀の大博打ともいうべき「金融緩和政策」を実施した。その結果、09年通年の国内の新規融資額は前年比96%増の約9兆6000億元(約126兆円)に膨らんだ。

放漫融資が生んだ深刻な副作用

 このような前代未聞の放漫融資は当然、さまざまな深刻な副作用を生んだが、その最大の一つは、新規融資の多くが不動産投機に流れたことによって生じた不動産バブルである。国務院発展研究センターの調査でも、09年の新規融資の約3割が不動産投機に流れたことが判明している。

 つまり、本来なら、実体経済の急落を食い止めるために行った放漫融資の多くが不動産投機に流れた結果、実体経済とは無関係のところでバブルだけが膨んだわけである。09年における中国の「経済回復」の内実は、このような歪んだ構図の上に成り立った虚構にすぎない。

ある中国人教授の調査によると……

 さて、ここでの一番肝心な問題はすなわち、去年の新規融資の約3割が不動産投機に流れたのは一体何故なのか、ということだが、北京大学商学院教授の頼偉民氏は09年後半を通して、全国60都市、150の不動産物件の販売状況の現地調査を行い、その実態の解明に努めた。その調査の結果はなかなか興味深いものである。

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