チャイナ・ウォッチャーの視点

2009年12月23日

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 まもなく終わる2009年は、中国にとってどのような年だったのか。ここでは、3つのキーワードを通して「2009年の中国」を振り返り、この巨大国の未来を占ってみよう。

キーワードその1 「放漫融資」

 08年秋に始まった世界同時不況の中で、大きなダメージを受けたのは、経済の対外依存度がすでに37%以上に達している中国の輸出産業である。中国の対外輸出は通常、毎年25%以上の伸び率を記録してきたが、09年上半期にはマイナス20%以下に急落した。その結果、輸出向け産業を中心に、全国の中小企業の約4割が潰れたのである。

 このような緊急事態に対応するために、中国政府は一連の応急措置をとった。

 その一つは鳴り物入りの「4兆元(約54兆円)の景気対策(財政出動)」であるが、もう一つ特筆すべきは、09年を通して中国政府が一貫して実施してきた金融緩和政策である。この政策の内実は要するに、中央政府が管轄下の国有銀行に対して、企業向けの貸し付けを「どんどんやれ」との大号令で新規融資の拡大をはかり、それによって景気を浮揚させようとするものである。

 その結果、09年上半期だけで、中国国内で行われた新規融資の総額は7.4兆元(約99兆円)にも達した。

 「7.4兆元」とはどういう数字なのか。08年上半期、中国国内で行われた新規融資額は2.5兆元だったから、09年上半期の新規融資総額は、前年同期比では実に196%増である。しかも、09年上半期の中国のGDP(国内総生産)は13兆9862億元で14兆元未満であったから、同じ時期における国内新規融資の総額はGDPの半分以上にも達しているという、前代未聞の異常事態が生じているのである。

 それはまさしく、「集中豪雨式」の放漫融資以外の何ものでもないが、09年第3四半期の経済成長率が8.9%までに回復することが出来たのも、こうした放漫融資が奏功したことの結果であることは論を俟たない。この原稿を書いている12月22日現在、今年度の新規融資総額の統計数字はまだ発表されていないが、おそらく10兆元以上に達していることが確実であろう。

 しかし、こうしたなりふり構わぬ放漫融資は長く続きそうにもない。あまりにも大量の貨幣を市場に投入してしまうと、それがインフレの到来を招くことになるのは経済上の常識だからだ。実際、秋頃からの中国では、豚肉などの食料品の値上げが顕著となって、インフレの兆しがすでに見え始めた。12月1日、中国の著名な経済学者、成思危氏は「中国は来年、インフレが起こる可能性がある」との警告を発したのも、まさにこの故である。

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