東大教授 浜野保樹のメディア対談録

2010年5月14日

 これまでの内容:
第1回「ポケモンとディズニーの共通点と相違点」
第2回「ポケモンを育てた仕掛け人たち」

石原 とりわけ第1作目の『赤・緑』に出てくるポケモンたちには、そういうちょっとした毒があると思います。人生には不条理なことだってあるし、人間世界に毒は付き物なので。怪獣の暴力性とか荒唐無稽さが、今は、だんだん見られなくなっていますが、全く無くなってしまうのはよくないな・・・と思ったりすることもあります。

 例えばポケモンの世界には、虫ポケモンと鳥ポケモンがいて、鳥は虫を好物にしている。え、そこには食物ピラミッドみたいなものがあるのかと、驚く子供がいるかもしれないですし、可哀相と言う子がいるかもしれません。

 でも、それらを全てなくしてしまうと変ですよね。多少、気持ち悪い生き物だっているし、触ってみようかな、恐いなという生き物もいないとね。生き物がもつリアリティを画面で感じてもらえたところが、ポケモンが男の子にも、女の子にも夢中になってもらえたところでしたし。

日本発、世界の子供へ

司会 浜野さんに伺いたいんですが、かつてはソニーでありニコン、今はポケモンです。日本が世界に売り、世界が夢中になるものが、随分と変わりました。しかもポケモンは、ダイレクトに子供に、つまり未来世代に訴求している。この辺、浜野さんはどう評価なさいますか。

浜野 世界に影響を及ぼすほどの国というのは、おしなべて、代替のきかない文化をおカネが取れる何かにして生きながらえているわけです。フランスなんかその典型でしょう。イギリスはというと、かつて世界を支配した副産物で評価は複雑になるけど、英語の通用力ですよね。それをおカネに代えている。言語自体をおカネにして生きている。

 ですから、われわれが大事にしているもの。それをおカネに代えながら生きていくってことは、自然だし、大切なことなんだと思いますよ。

 特に日本では今、子供が減っている。それなのに、ポケモンを大成功された。一時のあだ花になるのじゃなく、モラルを守りながら、長く人々に好かれてね。勇気づけられる話ですよ。

手を合わせる株式会社ポケモン社長・CEOの石原氏

石原 いまのゲーム機は、ワイヤレス高速インターネットでサーバーと接続できるようになっています。これを使って、すごく遠隔の相手、例えばポルトガルの子供と、日本の子供がポケモンの交換をしたりしている。

司会 ゲームやカードゲームの「世界大会」もやっていますね。「ポケモン・ワールドチャンピオンシップス」。今年はハワイ開催だと聞きました。いまおっしゃったネット上での国境を越えた交換が、フェイス・トゥ・フェイスでもなされている。

石原 子供は言葉が通じなくてもいいんですね。ためらいなく、身振り手振りでコミュニケーションを始めたなと思ったら、すぐ友達になっていたり。

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