日本を産油国にする!(前篇)

エネルギー研究者・小西哲之


ACADEMIC ANIMAL 知的探求者たち

“学問玄人”である研究者の方々に話を伺い、学問の醍醐味、楽しさを伝える連載企画。ユニークな研究者、長い時間をかけて壮大な問題に取り組まれている研究者、学界の“星”のような研究者など、さまざまな研究者に、その研究内容や研究の道に入ったきっかけなどを伺います。ビジネス情報誌「月刊 WEDGE」との連動企画。

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小西哲之氏の夢は「ゴミから石油を作ること」。
そのために必要な900度という高温を、核融合から得られないかというのが
小西氏の着想だ。日本人はとかく核への抵抗感が強いが、
核兵器につながらない核融合の研究は、日本が先端を走っている。

高井ジロル(以下、●印) 原子力でゴミから石油を作ることに取り組んでいるそうですね。

インタビューを受ける小西哲之教授

小西哲之(以下、「――」) はい。家庭から出る燃えるゴミをはじめとする廃棄物バイオマスに、900度の高温熱を加えてガス化し、それを軽油にする、という燃料製造システムを研究しています。900度の高温熱を出す熱源として想定しているのが核融合です。

●夢のような話ですが、科学的には一般的なことなんですか?

——反応器の中にセルロースを入れて高温水蒸気をあてると、気体になってあっという間に消えてなくなり、水素と一酸化炭素が出てくる、という反応自体は、化学屋さんだったら誰だってわかるものです。同じことをもっと低い温度でやっている人は何十年も前からいました。でも、こんなに高い温度でやる人はいなかった。900度というのは、化学プロセスでは扱うのが難しい温度なんです。

 一酸化炭素と水素の混合ガスというと、昔の都市ガスの成分と同じ。このガスの組成をちょっといじって触媒を通すと、軽油ができます。ディーゼルエンジンにつかえる燃料ですね。このガスの反応はフィッシャートロプッシュ合成というんですが、これは、第二次大戦のときに、石炭しかないけどメッサーシュミットを飛ばさないといけなかったドイツが工業的に開発した方法で、よく知られたものです。

システム概念図
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●燃えるゴミというのはセルロースとリグニンでできているんですか?

——ほとんどそうです。たとえば紙は100%セルロース。台所から出る野菜くずも水気をのぞいたらほとんどそう。わらなんかもそうです。プラスチックは違うんですが、それも含めて燃えるゴミはほとんどCとHとOでできているんですよ。鉄とか石ころとか魚の骨とかが入っているとちょっと違ってきますが。

 低い温度だと、タールとか煤とか芳香族とか、いろいろと具合の悪い化合物もできてきますが、900度までいけば一番簡単なものに分解されて出てくる。大まかにいって、乾燥重量1kgのゴミから、0.5リットルの軽油がつくれます。

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