定年バックパッカー海外放浪記

2017年4月30日

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高野凌 (たかの りょう)

定年バックパッカー

1953年生まれの62歳。横浜生まれ、神奈川県出身。大学卒業後は商社、メーカー勤務を経て2013年定年退職。2014年春から海外放浪生活を始める。放浪歴は地中海、韓国、インドシナ半島、インドネシア、サンチアゴ巡礼など。サラリーマン時代は主として海外業務に従事。ニューヨーク、テヘラン、北京にて海外駐在を経験。身長170センチ、57キロ。獅子座。A型。現在2人のご子息は独立し、夫人との2人暮らし。孫1人。

(2016.4.6.~5.21 45日間 総費用47万円〈航空券含む〉)

レンタカーは“メキシコ不可”

 (承前)5月9日。サンディエゴからメキシコ国境まで車で3時間くらい走って徒歩で国境を越えてメキシコのバハ・カリフォルニア州都ティアフアナに遊びに行った。実は当初車で国境を越えてメキシコのバハ・カリフォルニアを数日間ドライブ旅行する計画を立てていた。

 ところが前日にサンディエゴ近郊のオーシャンサイドのツーリストインフォメーションの親切なおばさんに、メキシコ自動車旅行を相談したらメキシコへの乗り入れは「通常のレンタカー契約では禁止事項になっているはずよ。メキシコでは盗難や事故がめっちゃ多いからよ」とのアドバイス。慌てて契約書をみたらメキシコは走行禁止地域(prohibited area)として明確に指定されていた。ちなみに契約上カナダへの乗り入れはOKだ。

ティア・フアナの土産物屋が並ぶ通り

自己申告制度は市民の良心に立脚した公平な正義なのか?

 街をぶらぶら散策していたら街角のテントに人が集まっていた。聞くと選挙中で革新系候補者のキャンペーン中とのこと。「日本人だ」(Soy japoness)なんて言っても運動員の若者たちは聞く耳を持たず「署名して応援してくれ」と頼むので漢字で署名したら大いに喜んでくれた。それからテキーラを買って野菜とビーフを煮込んだメキシコ料理を食した。

ティア・フアナの地方選挙のキャンペーン。現在の与党PRIから立候補したようである

 エルパソでの経験からメキシコから米国への入国審査は時間がかかることは承知していたので観光は早めに切り上げた。陸橋を渡り米国側入国管理事務所まで続いている行列に並ぶ。数百メートルの道は日除け屋根が設置されている。2列に並んでおり左側は米国市民、米国労働許可証所持者、身体障害者(handicapped person)と表示されている。健常者で米国以外のパスポート保持者は“それ以外”なので右側にならぶ。大勢の一般メキシコ人に混じって30分くらい並んでいたが一向に前に進まない。

どうして昼中堂々と国境を越えようとしたのか? メキシコ側の柵を乗り越えて逮捕されてしまったが。諦めきった様子だ。裸足で両手も汚れている

 どうなっているのか行列の最前列まで様子を見に行くと左側の優先レーンはぞろぞろと人が歩いてそのまま入管事務所の建物のゲートを入り審査手続きを受けている。右側の一般レーンはゲートが閉じられてゲートの手前で待たされている。優先レーンの人間がいなくなると一般レーンの人間を一定数通している。

米国入管を目指して並ぶメキシカンの行列

 よく見ているとメキシコ人の中高年のオジサンや肥満体のメキシコ人の若者がゲートを通過している。警備員に優先レーンを通過できる条件を確認すると「身体障害者には老人、妊婦など何らかのハンディーも含まれる。老人は70歳以上が条件だ。」と回答。残念ながら日本国籍で63歳の健常者は対象外だ。

 列の後ろに戻って更に30分ほど待っていたが遅遅として進まない。しかもどう見ても60歳以下のメキシコ人のオジサン、オバサンや労務者風の元気な若者がどんどん優先ラインを通過してゆく。

車でアメリカへ戻る米国人観光客には数時間待ちの大渋滞を我慢する忍耐力が求められる

 これはおかしいと再度ゲートに行くと別の警備員がおり改めて身体障害者の定義を確認すると「定義は何もない。身体障害の証明書の提示も求めていない。自己申告だ」という。何度も通過しているメキシコ人は何らチェックやお咎めがないことを知っているので堂々と優先レーンを通過しているのだ。

 しかしながら日本国憲法と同様に“書かれた規則を文字通り墨守する”ことを生来教え込まれている日本のオジサンはそれから30分ほど辛抱してやっとゲートを通過したのであった。

 自己申告は“神に誓って嘘は申しません”という宣誓証言と同様に西洋近代社会の根幹に関わる厳粛な法律行為であると35年前に交通違反で出頭した米国の簡易裁判所でボランティアの弁護士見習いから説明を受けた記憶が蘇った。

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