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2017年5月17日

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土方細秩子 (ひじかた・さちこ)

ジャーナリスト

ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

 今年に入り逆風続きの米ライドシェアサービス、ウーバー(UBER)にまたもや打撃。グーグルの自動運転部門であるウェイモがライバルであるリフト(Lyft)と自動運転についての提携を行う、と発表した。リフトは出資会社の一つであるGMとも自動運転の商用車利用についての提携を行なっており、2018年から米国内でのテスト運用を行う、と発表済みだ。

ニューヨーク・クィーズにあるウーバーの事務所(Spencer Platt/Getty Images)
 

 ウェイモとウーバーと言えば、ウェイモを退職したレバンドフスキ氏が企業秘密を持ち出し独自の自動運転会社「オットー」を設立、その後オットーが6億8000万ドルでウーバーに買収され、結果的にウーバーがウェイモの機密情報を入手した、として裁判沙汰になっている。「敵の敵は味方」ではないが、ウェイモがリフトとの提携を発表した意図は、ウーバーに打撃を与えることも視野に入っているのは確かだろう。

 ウーバーは1月にトランプ大統領の移民排斥につながる大統領令に、ニューヨークのタクシー組合などが反発してデモを行なった際も営業を続けたことが批判され、「デリート・ウーバー(ウーバーアプリを削除しよう)」というボイコット運動につながった。その後もセクハラ問題の浮上など、イメージダウンに繋がることが続いている。

 このためウーバーは上場企業ではないにも関わらず、財務状況の発表に踏み切った。それによると2016年の取り扱い高は200億(約2.2兆円)ドル、売り上げ高は65億ドル(約7000億円)ながら、経常収支は28億ドル(約3000億円)の赤字である。2015年にはウーバーの経常赤字は60億ドルとも報道されていたから、「赤字額は減少を続け、黒字に転換するのは数年以内」というウーバーの主張には一見うなずける点もある。

 現状ではウーバーとリフトではまだまだ差がある。昨年の実績では「ライドシェアサービスを使用したことがある」という人の中で「ウーバー使用」が8割だったのに対し、「リフト使用」は2割だったとされる。

 しかし、リサーチ会社7Park Data社によると、2015年の第三四半期からの1年間を比較すると、ウーバー利用者の増加が200%だったのに対しリフトは246%、同社が調査した全米20都市のうち19都市でリフト利用者の増加率がウーバーを上回っていた。

 ただし、リフトの昨年の収支は6億ドルの赤字と報道されており、規模としてはウーバーより小さいため赤字も少なく見えるが、黒字企業ではないことも確かだ。しかしリフトのジョン・ジマーCEOは上場することを視野に入れている、とも語っており、ウーバーよりも早く上場、黒字転換する可能性も見える。

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