2024年4月20日(土)

親子で楽しむ展覧会 2010

2010年8月5日

ボッティチェリの『春』の中に入ってみると…

 先述のゴッホの自画像の他にも、おもしろい作品が多数並んでいる。教科書でおなじみのボッティチェッリ『春』を、視点を変えて描いた作品(福田美蘭『ゼフィロスから見たクロリスとフローラと三美神』)や、写真と見間違うほどリアルな卵(上田薫『なま玉子 J』)などの絵画だけでなく、「梨のはずが、よく見ると…?」(森村泰昌『ボデゴン 鼻つき洋梨』)や「アクリルボックスの中に靴はいくつあるの?」(名和晃平『PixCell[Shoe#6(L)]』)などの立体作品も多数展示されている。思わず手を触れてしまいたくなるが、そこは「手じゃなくて目で確かめてね」と先述の江川氏。マナーを守って気持ち良く鑑賞したい。

福田美蘭 『ゼフィロスから見たクロリスとフローラと三美神』 1992年 高松市美術館     教科書でおなじみ『春』を、向かって右端の人から見ると・・・という斬新な作品。
上田薫  『なま玉子 J』 1978年 高松市美術館 まるで本物の卵のよう。よく見ると白身の部分に見えるのは・・・?


















 

 普通に作品を見てももちろん楽しめるが、より子どもが楽しめるための工夫が凝らされているのも特長だ。例えば、パンフレットは通常版の他に子供用を作り、「トリックアートとは何か」から作品の見どころまで分かりやすく解説している。それとは別に、展示作品に関するクイズに答えていくリーフレットも子どもには配布される。会場ではそのリーフレット片手に、一生懸命作品を見て答えを考える子どもたちが大勢いた。解答も用意されているので、最後には答え合わせもできる。

 また、各作品には「見るヒント」という、作品をトリックアートとして楽しむための見方のポイントが、子供向けの平易な言葉で記載されているので、小学校低学年の子でも無理なく楽しむことができる。小学校高学年~中学生以上の子どもであれば、さらに別紙で「見方のポイント」があるので、それを見ながら鑑賞できる。これは、お父さん・お母さん向けの「アンチョコ」にもなるので、ぜひ活用しながら子どもに説明してあげると、スムーズに鑑賞できるだろう。

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