WEDGE REPORT

2017年8月5日

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 トヨタ自動車とマツダが持続的な協業関係の強化を目指して業務資本提携することで4日、合意した。2年前の2015年5月に両社は包括業務提携に調印、この時、豊田章男トヨタ社長は「マツダと婚約した」と述べたが「その後の2年間で関係が強まった。出資は『結納金かな』」と指摘、両社はお互いの独自性を維持しながらも「結婚」に向かう可能性もうかがわせた。

 トヨタがマツダに約5%を出資、マツダもトヨタに0.25%出資、米国で生産合弁会社を設立して完成車を生産し、将来的には「ここでEV(電気自動車)を生産することもあり得る」(豊田社長)。EVを両社で共同技術開発し、自動運転車に関しても共同開発を目指すなど包括的な合意内容になっている。

4日会見した豊田章男社長(左)と小飼雅道マツダ社長(REUTERS/AFLO)

トヨタの傘下には入らない 

 同日夕に豊田社長と小飼雅道マツダ社長がそろって記者会見した。豊田社長は「いまは販売台数による競争ではなくなってきた。アップルやグーグルなどIT企業と『海図のない戦い』をしなければならない中で、マツダとの協業を2年間検討した結果、業務資本提携になった」と指摘、小飼雅道マツダ社長は「トヨタとの協業が何より必要だと感じた。業務資本提携の関係が継続的なものになることが必要と判断した」と述べた。

 今回の業務資本提携は、会社の規模から見ると、トヨタがマツダを傘下に入れる印象があるが、「協業をベースにした提携で、トヨタグループ入りではない」(丸本明マツダ副社長)と強調、両社の首脳は「切磋琢磨しながらの協業」という言葉を繰り返した。

 両社は世界的な流れになってきた電気自動車(EV)の共同開発を加速させる。EV開発が出遅れているマツダにとっては設備投資がかさむEVの開発を自社だけで行うのは困難なことから、包括提携関係にあったトヨタの支援を受ける決断をした。一方、トヨタにとっては米国での新工場をマツダと共同で立ち上げることでリスク分散にもなるという思惑もある。世界の自動車業界がEV化に向けて一気に走り出す中で、トヨタとマツダの当面の利害が一致したことによる資本提携とも言える。

トランプ政権に反論材料

 豊田社長はこの新工場建設は、トランプ大統領の主張する「米国第一主義」に配慮したのかという質問に対しては、「関係ない」と否定した。トランプ政権が自国優先を掲げて北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しを表明したことで、メキシコにある工場を拠点にして米国に車を供給してきたマツダは米国での事業が厳しくなるのではないかと言う不安がつきまとっていた。だが、今回のトヨタとの業務資本提携で米国に合弁工場ができれば、トランプ政権に対しても「米国の雇用に貢献している」と反論できる。

 今回の業務資本提携のニュースを受けて、好感したのはマツダ株で、終値では前日より2.8%値上がりした。株式市場はマツダにトヨタという強大な応援団が付いたとして安心感から買いが広がった。一方、トヨタ株は0.14%の値下がりとなった。トヨタにとってはあまりメリットがないという受け止め方のようだ。

 EVの開発と生産について豊田社長は「EVの開発は両社の混成で行う。コスト削減も大事だが、いかにして車の味を付けるかだ。EVは特徴を出しにくい車なので、どのように味を出してブランディングしていくかが課題だ」と述べ、EVはコモディティ(汎用品)にはしない姿勢を示した。

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