ゲーツ元米国防長官が、7月10日付のウォールストリート・ジャーナル紙のインタビュー記事の中で、中国に対北朝鮮政策の圧力をかけるべきで、北朝鮮の核の凍結や在韓米軍の再編等を提案しています。主要点は、次の通りです。
北朝鮮問題の解決に重要なことは、不完全なオプションの中で最も望みがある戦略は何かということだ。会見でゲーツ元長官は、自分の提案を語った。
ゲーツは基本原則から始める。第1は、良い純軍事的オプションはないということだ。全面戦争の危険を考えただけで純軍事的オプションは選択肢にならない。第2に、「中国がカギを握ることに変わりはない」ということだ。北朝鮮に影響力を持つ唯一の国は中国だ。ゲーツは、中国に対し今までとは違ったアプローチを取ることにより「現状を変えるべき」だとのトランプ政権の考えに賛同する。それは第3の原則になる。「外交と軍事を含む包括的な戦略を中国の高いレベルに突きつけることが必要である」と言う。金正恩と直接やる前に中国と手を打てと言う。
ゲーツの提案は次の通りだ。中国に対して、米国は、キューバ危機の時と同じように、北朝鮮のレジームを認める、レジーム・チェンジはしない、更に北朝鮮と平和条約を署名する、そして在韓米軍につき一定の変更を検討する用意があると提案する。それと引き換えに、米国は北朝鮮の核・ミサイル開発に厳しい制限を要求する。それは核・ミサイル開発の現状凍結を基本として、国際社会と中国自らが実施を確保するというものである。
ゲーツは、「北朝鮮に核兵器を放棄させることはできないだろう」、「しかしミサイルを短い射程に制限することはできるかもしれない」と述べる。加えて米国は中国に対して、北朝鮮が保有する核兵器は12~24程度に制限されることを確保するための厳格な検証と、核兵器や運搬能力の追加的開発が行われないことを確保する検証が必要なことを伝えなければならない。
最も大事なことは、いかなる外交的解決をするにしても中国自身がその実施を支援することを要求することである。ゲーツに言わせれば、「それを中国が受け入れないのであれば、米国はアジアで中国が避けたいと考えている措置を取っていく」。中国との合意ができない場合、米国はアジアで、韓国、日本、太平洋艦隊を含め、ミサイル防衛の展開を拡大する。更に北朝鮮がICBMらしきミサイルを発射すればそれを撃墜することを宣言する。米国は北朝鮮のレジームの封じ込めに必要なすべての措置をとる。「それらはすべて中国に敵対的な措置である。中国が軍事的に対応しようとすれば何十億ドルの経費が掛かるだろう」。
米国は、交渉による解決ができない場合、これらの措置が不可避となると脅かすだけで事が足りる。「オプション1が作動しない場合はオプション2を発動する」。中国が同意した時にのみ、北朝鮮との直接交渉を始める。トランプは「正しい状況において」金正恩と会う用意があると述べたが、ゲーツはもっと賢いやり方を提案している。
出典:Wall Street Journal ‘What Would Gates Do? A Defense Chief ’s Plan for North Korea’ (July 10, 2017)
https://www.wsj.com/articles/what-would-gates-do-a-defense-chiefs-plan-for-north-korea-1499697227