世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年10月4日

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 ミャンマーのラカイン州で続くロヒンギャの迫害とこれに伴う暴力の抗争について、アウン・サン・スー・チーが問題の解決に動こうとしないことに失望を表明する社説を9月1日付のワシントンポスト紙が掲載しています。要旨は以下の通りです。

(iStock.com/yuliang11/ Haider Yousuf/Halfpoint/Feverpitched/g_muradin)

 2012年、ノーベル賞の受賞に際し、アウン・サン・スー・チーは「餓え、病、排斥、失業、貧困、不正、差別、偏見、偏狭」そして戦争に苦しむ人々を忘れないようにと熱烈に訴えた。「苦しみが無視される時、苦しみは増し、怒りは募り、憤激するが故に、紛争の種が撒かれる」とも述べた。

 今日、ミャンマーでは、長く迫害されて来たムスリムの少数民族ロヒンギャを巡って続く暴力と苦しみの連鎖が、彼女の言葉の真実をますます明確にしつつある。多数派の仏教徒によそ者だと誹謗され、基本的権利を拒否され、惨めなキャンプに押し込まれ、苛酷な軍の取り締まりの下に置かれ、ロヒンギャは怒りを募らせ、中には憤激する者もある。

 8月25日、アラカンロヒンギャ救世軍を名乗る小さな武装グループがラカイン州で30の警察署と軍の基地を急襲した。10名の警察官と多くの武装勢力を含む110人が死亡したが、これが軍による弾圧の引き金を引いた。軍は村を焼き払い、数千人が国境のナフ川を超えてバングラデシュ(既に40万のロヒンギャの難民が滞在する)に逃げ込んだ。貧弱なボートで川を渡ろうとしたロヒンギャもある。3隻のボートが転覆し、26人の女性と子供が死亡したという。

 これは国の実権を握るアウン・サン・スー・チーにとって試練の時である。彼女は強力な軍部の圧力に常に晒されている。その軍部は議会の議席の4分の1、枢要な省を支配する。ロヒンギャの弾圧を求める仏教徒強硬派の要求もある。未だ民主主義への途を手探りで進む国にとって、これらは無視出来る勢力ではない。彼女の抵抗する能力は無限ではない。

 しかし、人権と民主主義のチャンピオンとして、彼女はその約束を果たす時である。長年の自宅軟禁と孤立に耐えて、彼女は炎を燃やし続けて来た。ロヒンギャとの暴力的な抗争を終わりにするインスピレーションを彼女に求めることは、彼女に酷というものであろうか。ロヒンギャとの長期的な和解への施策を含め、行動すべき時である。

出 典:Washington Post ‘When will Aung San Suu Kyi speak out against the violence and suffering in Burma’ (September 1, 2017)
https://www.washingtonpost.com/opinions/when-will-aung-san-suu-kyi-speak-out-against-the-violence-and-suffering-in-burma/2017/09/01/8a98d542-8f24-11e7-84c0-02cc069f2c37_story.html?utm_term=.ab3fea9c9f35

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