世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年9月27日

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 エコノミスト誌8月26日号の社説が、イスラム主義者すべてを弾圧しようとするのは正しくない、と述べています。要旨は以下の通りです。

(iStock.com/Juanmonino/arieliona/Explora_2005/lkpro/kokoroyuki/asikkk)

 2011年のアラブの春で中東の独裁者が倒された後、中東ではムスリム同胞団などイスラム主義勢力が影響力を獲得、支配した。しかしアラブ世界が破綻している今、イスラム主義者が民主的な役割を果たせるという考えも破綻した。

 彼らは反動的政権に再び弾圧され、暴力的な聖戦主義者に挑戦され、期待を裏切られた有権者から疑惑の目で見られている。

 イスラム主義者と言ってもチュニジアのアンナハダ党から、ハマスまでいろいろある。それらすべてを弾圧しようとする者は、イスラム主義者は皆同じだ、基本的に民主主義に反する、解決は独裁政治である、と言っているが、3つとも誤りである。

 まず、イスラム主義者を批判する者は、イスラム主義者は皆アルカイダ、ISと同じで、暴力的な聖戦主義者であると言う。しかし、すべてのイスラム主義者は同じだと言う議論は、欧州の社会民主主義者は、マルクスを読む点でイタリアの極左テロ組織「赤い旅団」と同じだと言うに等しい。

 次にイスラム主義者が民主主義的でない例として、しばしばトルコのエルドアン大統領とエジプトのシシ大統領が引き合いに出されるが、2人の行動はイスラム主義者というよりは、トルコとエジプトに特有の、強者の権力奪取の一例と言うべきである。

 第三の誤りは、イスラム主義は独裁政治で抑えるべきであるという考えである。イランのシャー、イラクのサダム・フセイン、シリアのアサドなど、中東の独裁者は韓国や台湾と違って、繁栄の継続をもたらさなかった。ムスリム同胞団を倒したシシは、かつてのムバラクより弾圧的である。

 独裁政治は解決にならない。

 唯一の解決策は、アラブの経済と政治を少しずつ開かれたものにすることである。それは、イスラム主義者が暴力を捨て、民主主義の原則を尊重するのであれば、イスラム主義者も含めて主義主張を競わせることである。イスラムは中東の社会の中心的存在なので、イスラム主義者は除外すべきでない。

 イスラム主義者は政治に占める宗教の地位から女性の役割についてまで、寛容でないので、アラブ世界のキリスト教民主主義者とは程遠いが、プラグマティックになることができ、無視できない。

 イスラム主義者をすべて弾圧しようとすれば、彼らを団結させ、過激化するだけである。改革に反対する最も危険な分子と戦うとともに、穏健派と協力すべきである。そうすればイスラム主義は聖戦主義への道ではなく、その防塞となるだろう。

出典:‘Blanket repression is the wrong way to deal with political Islamists’(Economist, August 26, 2017)
https://www.economist.com/news/leaders/21727067-their-record-power-often-worrying-they-can-be-pragmatic-and-cannot-be-ignored-blanket

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