世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年9月18日

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 トランプ大統領は8月14日、中国による米企業への知的財産の侵害について調査を命じました。この件について、同日付のウォール・ストリート・ジャーナル社説は、トランプ政権の対応の根拠となっている1974年通商法第302条b項は副作用を伴い危険であり、よりWTOに合致したやり方で報復すべきである、と言っています。要旨は次の通りです。

(iStock.com/sajithsaam/Bullet_Chained/littleartvector)

 トランプの通商政策は、選挙戦中のレトリックよりかなり抑制されているが、8月14日、中国による米企業への知的財産の侵害について調査を命じ、対中圧力を高めた。危険なのは、トランプが振りかざしている1974年通商法第302条b項が、米製品への市場開放の努力を損ない得ることである。

 中国が2001年のWTOへの加入に際しての約束を破っているというトランプの主張は正しい。中国は、自由貿易を受け入れず、胡錦濤、習近平の下、輸入代替を目指してきた。

 習が2015年に発表した「中国製造2025」計画は、8年間で中国製品の占有率を70%に高めることを目指している。同計画は、外国企業の市場からの閉め出しや政府投資により、10の産業分野で中国企業をトップに押し上げることも要請している。

 中国の貿易相手である先進諸国は、こうしたやり方を受け入れないことで一致しており、中国も批判に応じてある程度軟化している。しかし、歴史は、中国が自動車メーカーやテクノロジー企業に対し、最先端技術を政府や合弁パートナーに渡すよう圧力を掛け続けることを示している。

 問題なのは、302条b項が、副作用をもたらしかねない危険な武器だという点だ。というのは、同条項は、米行政府に裁判官、陪審員、執行者の役割を許し、大統領が適切と判断すればいかなる措置も執ることも許しているからだ。

 1980年代の日米貿易摩擦は、1995年のWTO設立、条約義務違反を判断する上級審の設置に繋がった。

 トランプ政権が中国製品への関税を引き上げたら何が起こるのか。第一に、中国は、被害者を装って、米国をWTOに提訴し得る。紛争がエスカレートすれば、両国の企業が機会を失い、消費者は多くの支出を余儀なくされ、経済は減速するだろう。

 紛争は、ルールに基づくWTOの制度の尊重を弱めることにもなろう。それは、中国にとり有利に働き得る。中国は、東アジア各国の主要な貿易相手国としての地位を利用し、地域における優位を固め、米国と同盟国との貿易関係を排除するかもしれない。米国は、自らが構築を支援した、ルールに基づく貿易システムの維持に大きな利害を有する。

 中国の貿易黒字は、外国資産への投資が必要ということでもある。中国は、投資を米財務省証券以外に分散させることを望んでいる。トランプ政権が互恵待遇を強調するのは正しい。規制は、特に先端技術分野での中国の投資を阻止する力を米政権に与える。

 中国が米企業の対中投資を制限し続けるならば、よりWTOに沿ったやり方で報復をすべきであろう。米国と他の先進国がこの問題で協力し、中国に自らが署名した貿易法に従うよう要求し得る。

出典:‘Trump’s China Trade Sally’(Wall Street Journal, August 14, 2017)
https://www.wsj.com/articles/trumps-china-trade-sally-1502753447

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