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2017年9月29日

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土方細秩子 (ひじかた・さちこ)

ジャーナリスト

ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

 多くのスポーツ選手にとって「命綱」とも言えるのが企業によるスポンサーシップ。もちろん年間に何十億と稼ぐプロ選手もいるが、それでもスポンサーがいなければ生活が成り立たないという選手も多い。

 しかし企業にとって個人をスポンサーする、というのはリスクが伴う。日本でも最近デキ婚による若手タレントのCM違約金が10億に上るのでは、などと騒がれた。人間である以上、どんな問題が持ち上がるのかは分からない。

 

 そこでコカ・コーラ社が新たに発表した「スポンサーするアスリート」が話題になっている。そのアスリートの名前はアレックス・ハンター。米国では雑誌の表紙を飾ったりニュースで取り上げられたり、と近頃評判のサッカー選手だ。

 しかしアレックス・ハンターなんて選手がいたか? と首を傾げる向きも多いだろう。それもそのはず、ハンターは「FIFA17」というPS4のビデオゲームの主人公なのだ。このゲーム、サッカーゲームでありながらシネマチックモードで主人公に肩入れできる、ロールプレイングゲームのような要素を持っている。「FIFA17」ではハンターが英プレミアリーグに挑戦する「The Journey」というストーリーが非常に人気となった。

 今年リリースの「FIFA18」では、ハンターが移籍騒動に巻き込まれて英プレミアリーグから、ロサンゼルスギャラクシーで巻き返しをする、というストーリーのようだ。成功と挫折、そして再生、とまさに米国人が好むストーリーとなっている。

(Lukas Schulze/Getty Images News)

 コカ・コーラは今回の「スポンサー」について「非常に理想的なアスリート。飲酒運転をしたり失言をしたり、という危険性も彼を動かすAIがとんでもないプログラムにハッキングされたりしない限り心配しなくて済む」と語っている。すでにコマーシャルビデオも作成され、ソーシャルメディアを通して流されたり、ニューヨーク・タイムズスクエアのビルボードにも放映される予定だという。

 米国ではタイガー・ウッズの不倫問題で多くの企業が多大なダメージを被った。それまで優等生のイメージが強かったタイガーは賞金でもスポンサーマネーでも世界最高額を稼ぐアスリートであり、多くの企業がタイガーのスポンサーにつきたがっていた。ところがイメージを覆す「セックス依存症」が判明、その後離婚となり世界ランクもガタガタに下がり、今や企業にとっては「スポンサーを避けたいアスリート」の一人となっている。

 ハンターはバーチャル・アスリートとはいえ非常に人気が高く、これまでもアディダスなどがスポンサーについたことがある。ビデオゲームの中でアディダスのユニフォームや靴などを身につけることで、かなりの広告効果が認められたという。

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