2024年12月22日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年11月8日

 カーター元米大統領がワシントン・ポスト紙に10月4日付けで寄稿し、北朝鮮をめぐる危機打開のため、米国は北朝鮮と話し合うべきである、と述べています。寄稿文の要旨は以下の通りです。

(iStock.com/Tomacco/Bobliakh/Michael Brown/ stockdevil)

 北朝鮮をめぐる情勢は世界平和にとって最も深刻な脅威であり、北朝鮮と米国は緊張を緩和し、永続的な平和協定を結ぶため、何らかの方法を見出すべきである。

 私(カーター)は過去20年の間に、北朝鮮の指導者や市民と多くの時間話してきたが、金日成などの北朝鮮の指導者が道理をわきまえ、体制の維持に専念していることを知った。

 北朝鮮の指導者は常に、米国との直接対話で休戦協定に代わる平和条約を結び、制裁解除を実現し、米国が北朝鮮を軍事攻撃しない保証を得ることを望んでいた。

 北朝鮮国民はほぼ全員が、最大の脅威は米国による先制軍事攻撃であると考えている。

 北朝鮮の指導者の最優先事項は体制を維持し、外部の支配を出来るだけ排除することである。

 これまで厳しい経済制裁は、北朝鮮の核開発を阻止できなかった。

 北朝鮮は非核化されたリビアがどうなったかを見て、米国がイランとの核合意を疑問視していることを知っているので、完全な非核化は無理だろう。

 危機打開のため、北朝鮮の核基地の攻撃、より厳しい経済制裁、NPTのより厳格な適用など、多くの提案がなされているが、北朝鮮政府は生存がかかっていると考えているので、これらの措置は危機打開につながらない。

 ティラーソン国務長官が「北朝鮮と対話のルートがある」と言ったのは緊張緩和への良い第一歩である。

 米国は次のステップとして、平和の話し合い、あるいは南北朝鮮、米中を含む国際会議の開催支援のため、北朝鮮にハイレベルの使節団を派遣することを提案すべきである。

出典:Jimmy Carter,‘What I’ve learned from North Korea’s leaders’(Washington Post, October 4, 2017)
https://www.washingtonpost.com/opinions/jimmy-carter-what-ive-learned-from-north-koreas-leaders/2017/10/04/a2851a9e-a7bb-11e7-850e-2bdd1236be5d_story.html


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