ちょっと寄り道うまいもの

2010年10月29日

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 麺は食べてしまったが、まだ汁が残っているカレーうどん。もったいない。御飯でも少しあれば、まだ、美味しく楽しめるのに。

 たわいもないといえば、たわいもない。しかし、誰もが思ったことがあるに違いない、小さな欲望。「一口だけ、ご飯を……」。

 まちおこしの起爆剤になるような名物が、何か出来ぬものかと相談をしているところで、そんなヨタ話が出た。そして、それが現実に名物になった。いや、より正確にはなりつつあるという現在進行形。

 ヨタ話、いや、企画会議をしていたのは、豊橋観光コンベンション協会の鈴木惠子さんと藤沢英樹さん。うどんでまちおこしを出来ないものかと画策していたのだ。

新名物 の仕掛け人、豊橋観光コンベンション協会の鈴木惠子さんと藤沢英樹さん

 豊橋はもともと小麦の栽培が盛んだった。稲作の裏作として、行われていた。そのため、うどんは日常的な食べ物だった。うどん屋の数も多かった。

 いや、店の数よりもユニークな有り様、うどんを中心に酒の肴も揃った居酒屋や、バラエティー豊かなファミリーレストラン的に存在するのが特徴である。讃岐などの、「うどん一筋」という感じとはちょっと違う。うどんが暮らしに根付いている、その意味では、負けていないが。

 そのうどんをアピールすべく、カレーうどんで名物にしたい。何か、特別な……。 

 鈴木さんは映画の撮影をまちに呼んできたりするような、メディア担当をしている。長く、メディアと付き合ってきた。どういうものにメディアが食いつくか、分かってきた。このヨタ話にはピンと来るものがあった。

 かくして、うどん店の団体に提案をし、あれこれ根回しをして、40を越える店がのった。試行錯誤のキャッチボールの末、「豊橋カレーうどん」が誕生した。誕生日、つまり、「よーいどん」とはじめた日が今年の4月24日。生まれたての名物である。

 その定義というか約束が、自家製麺を使用する。器の底から、ご飯、とろろ、カレーうどんの順に入れる。豊橋産のウズラ卵を入れる、等々。

 そもそも、豊橋では「うどん屋は自家製麺」が常識であるらしい。ウズラの卵の生産は、日本一。その名産品を使う。

 そして、何よりのポイントは、麺と混ざらぬように、とろろで覆われたご飯の存在。麺を食べ終わると、自然とカレーライス、いや、カレーリゾットとでもいうような状態となったご飯が現れてくる。

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