チャイナ・ウォッチャーの視点

2010年12月8日

»著者プロフィール

 中国では今、食料品を中心に物価の急速な上昇が庶民の生活を直撃するような深刻な事態が起きている。政府の公表した最新統計資料によると、中国の2010年10月における野菜価格は、前年同期比で31%増、果物価格は同17.7%増、住民消費価格指数は同比4.4%増と、いずれも25カ月ぶりの「高水準」を記録しているという。

1日に4回も値上がりする食用油

 国家発展改革委員会(発改会)が発表した10月の都市部食品小売価格調査によると、調査対象となる野菜、果物、食用油など31項目の商品のうち、24項目の価格がそれぞれ9月と比べて上昇している。

 また生産メーカー側の相次ぐ値上げにより、食用油、酒、インスタントラーメン、シャンプー、洗剤などの販売価格が10%から20%上昇した。こうした中で、「価格表示が間に合わない」、「食用油を例にとると、1日に3、4回値上がりの通知を(生産メーカーから)受け取る。最も多い時は4回も値札を変えた」と北京のスーパーマーケット店員は嘆き、3人から5人家族の世帯の1カ月の支出は少なくとも数百元増えており、国民は物価高騰で生活苦に直面しているのが現状である。

 これに対して、生活をひどく圧迫された消費者たちは、ありとあらゆる手を使って節約に励み、日々の生活防衛に必死になっている。

 たとえば、日々上がる物価水準に対抗するため、様々な節約術が注目されている。中国新聞網は11月29日、「中国で2010年に注目された節約キーワード」として、今年注目された単語10個を紹介し、様々に報じられた今年の物価高に対する、人々の「対処法」を伝えている。

「野菜の奴隷」になる中国人って?

 中国新聞網で紹介された10個の単語の筆頭は、「菜奴」という新造語である。「菜」は現代中国語では「野菜」の意味だが、「菜奴」とは要するに、生活必需品である野菜の値段が高騰している中で、あたかも「野菜の奴隷」になったかのごとく、より安い野菜を買い求めるために狂奔する人々のことである。その実例として、一番安い野菜を手に入れるために市内を自転車で1日数十キロも走り回り、すべての野菜売り場を「探検」する主婦の姿や、野菜を買いにいく時にわざと男の野菜行商人を選んで色目を使いながら値引きするOLの話などが紹介されているが、庶民たちが生活防衛のために、いかに必死になっているかが伺える。

 「菜奴」の他には、「海囤族 (品薄商品を大量に買いだめする人)」、「団購族 (共同購入する人)」、「網購族(インターネット通販を多用する人)」、「海報族(スーパーの広告チラシにある特売品ばかりを購入する人)」、「拼客(住宅、乗り物、レストランで注文した品などを他人とシェアする人)」、「コウコウ族(貧しいわけではないが、金銭的な無駄を嫌い合理的な買い物をする人、「コウ」は、「てへん」に「区」)」、「賬友(自身の支出をネットで公開し、良し悪しを助言しあう人々」、「券券族(割引券を積極的に利用する人)」、「特搜族(特売情報を交換する人)」などがあるが、いずれからも、物価の急騰によって生活が圧迫されている庶民の哀れな姿が浮かび上がっている。

食堂の値上がりで暴動が起こった中学校

 物価の急騰に、もはや我慢できなくなった人たちもいる。去る11月22日、貴州省六盤水市の第二中学(日本の中学・高校に相当)で、学生食堂の値上げに怒りを爆発させた生徒約1000人が食堂を破壊する事件が起きた。

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る