BBC News

2018年1月10日

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米右派オンライメディア「ブライトバート」は9日、ドナルド・トランプ米大統領の元側近、スティーブ・バノン氏が、会長の職を退いたと発表した。昨年8月にホワイトハウスの首席戦略官を解任されたバノン氏は、トランプ政権の内情を描いたとして話題の新著で、トランプ氏の長男を「売国的」と非難し、大統領の怒りを買っている。

ブライトバートは、「スムーズで秩序ある移行」のためにバノン氏と協力していくと声明で述べた。声明でバノン氏は、「ブライトバートのチームは、実に短期間で世界レベルのニュース・プラットホームを築きあげた。その成果を誇りに思う」とコメントしている。

ブライトバートのラリー・ソロフ最高経営責任者(CEO)はコメントで、「スティーブは我々の功績の大事な一部で、彼の貢献と、彼の助けを得て達成したことに、いつまでも感謝する」と述べた。

バノン氏は2012年からブライトバートの経営執行役会長を務めた。ブライトバートは、2016年大統領選でトランプ氏支持の論陣を張り、「オルト・ライト(オルタナ右翼)」などの呼び名を広めた。

米ジャーナリスト、マイケル・ウォルフ氏の新著「Fire and Fury: Inside the Trump White House(炎と激怒――トランプ政権の内側)」でバノン氏は、トランプ氏の長男、ドナルド・トランプ・ジュニア氏など選対幹部がヒラリー・クリントン氏に不利な情報をめぐりロシア人弁護士らとトランプ・タワーで面会したことについて、「売国的」と発言したと書かれている。

これについてバノン氏は、自分が「売国的」と呼んだのはトランプ・ジュニア氏ではなく、同席していた当時の選対責任者、ポール・マナフォート被告(大統領選とは別件の資金洗浄罪で起訴)のことだと訂正した。

ニュースサイト「Axios」が最初に伝えた声明で、バノン氏はトランプ・ジュニア氏を「愛国者で良い人」だと称えた。「自分の発言はポール・マナフォートについてのものだった。選挙戦のベテランとして、ロシアがどう動くか経験から承知しているはずで」、「(ロシア当局が)いかに欺瞞(ぎまん)的で狡猾で、決して我々の友人ではないことを認識しているべきだった。繰り返すが、私の発言はドン・ジュニアに向けたものではない」と強調した。

話題の内情暴露本は当初、9日の発売を予定していたが、内容の一部が3日に明らかになると、トランプ氏はバノン氏が「正気を失った」と非難。トランプ政権は発売差し止めを請求した。これに対して出版社は逆に発売を5日に前倒しした。

ウォルフ氏が著書で引用するバノン氏の発言は、ロシア人弁護士らと面会したドナルド・ジュニア氏、マナフォート氏、そしてトランプ氏の娘婿、ジャレッド・クシュナー氏の3人全員に向けられているように見える。バノン氏は発言そのものは否定していない。

著書でバノン氏は面会について、「選対の幹部3人が、トランプ・タワー25階の会議室で外国政府と、弁護士なしで会うのは良いアイデアだと判断した。弁護士は1人もいなかった。たとえこれが、売国的で非愛国的で最低最悪だと思わなかったとしても、ちなみに自分はそう思ったわけだが、ただちに連邦捜査局(FBI)に連絡すべきだった」と話したと書かれている。

バノン氏はさらに、内容が明らかになってから自分が訂正するまでに5日もかかったことを謝罪し、ウォルフ氏の書く内容は「不正確」だと批判した。

本の内容が明らかになって以来、トランプ氏は昨年夏に首席戦略官の役職を解かれたバノン氏が「仕事を失い、正気も失った」と非難。さらに「だらしないスティーブ(sloppy Steve)」とあだ名をつけ、「クビにされて泣き出した」と嘲笑した。

バノン氏が責任者を務める保守派メディア「ブライトバート」の主要出資者、レベッカ・マーサー氏も、異例の公の声明を発表し、バノン氏への出資をやめたと明らかにしていた。

バノン氏は、トランプ氏の「アメリカ第一」スローガンづくりの立役者で、大統領就任演説を執筆したとされるなど、一時はトランプ陣営および政権の思想的支柱と見られていた。

昨年夏に解任されたのは、H・R・マクマスター大統領補佐官(国家安全保障問題担当)や、大統領の娘婿ジャレッド・クシュナー上級顧問との権力争いに敗れたのが理由と言われている。

昨年秋にはアラバマ州の上院補選で、超保守派のロイ・ムーア候補を支持し、共和党主流派の候補を倒したことで、共和党主流派との戦いを持続するかに見えたが、12月の補選でムーア候補は民主党候補に敗れた。数十年にわたり共和党の牙城だったアラバマ州で民主党に敗れたことで、バノン氏の影響力は一気に失墜したとされる。

提供元:http://www.bbc.com/japanese/42631091

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