実践者・中村龍太が考える「カシコイ副業」

2018年1月19日

»著者プロフィール
著者
閉じる

中村龍太 (なかむら・りゅうた)

複業家・ポートフォリオワーカー

1964年広島県生まれ。大学卒業後、1986年に日本電気入社。1997年マイクロソフトに転職し、いくつもの新規事業の立ち上げに従事。2013 年、サイボウズとダンクソフトに同時に転職、複業を開始。さらに、2015 年には NKアグリの提携社員として就農。現在は、サイボウズ、NKアグリ、コラボワークのポートフォリオワーカー。2016年「働き方改革に関する総理と現場との意見交換会」で副業の実態を説明した複業のエバンジェリストとして活躍中。

 こんにちは。今回が、第四回目。今までは、雇用される側、個人から見た話だったが、今回は、会社側から見た話をしてみたい。そもそも、日本の会社は、どれくらい副業を推進しているのだろうか。『平成26年度 兼業・副業に係る取組み実態調査事業 報告書 訂正版』によると、副業を推進している会社はゼロ、容認している会社は、14.7%、認めていない会社が85.3%だ。

 なぜ、副業を認めないのか。もっともらしい理由としては、「本業がおろそかになる」、「情報漏洩の恐れ」、「長時間労働を助長する」らしい。また、もう一つの理由は、厚生労働省が公開している「モデル就業規則」の遵守事項として、「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」と書かれたものをコピペしたという説がある。いずれにしても、副業は、会社にとって悪のようだ。

 しかし、神戸大学大学院法学研究科教授 大内伸哉氏によれば、無許可副業に対する解雇の事案を上げて、「就業時間外は本来労働者の自由な時間であることからにして、就業規則で兼業を全面的に禁止することは、特別な場合を除き合理性を欠く」と……。確かに、なぜ、土日の休みまで会社が時間を拘束しないといけないのか……。

中村龍太(複業家・ポートフォリオワーカー) 1964年広島県生まれ。大学卒業後、1986年に日本電気入社。1997年マイクロソフトに転職し、いくつもの新規事業の立ち上げに従事。2013 年、サイボウズとダンクソフトに同時に転職、複業を開始。さらに、2015 年には NKアグリの提携社員として就農。現在は、サイボウズ、NKアグリ、コラボワークのポートフォリオワーカー。2016年「働き方改革に関する総理と現場との意見交換会」で副業の実態を説明した複業のエバンジェリストとして活躍中。

なぜ、会社は副業を肯定しないのか

 話を元に戻す。なぜ、副業を会社は肯定しないのか! 肯定している僕が勤めているサイボウズでは、その認めない理由をどう受け止めているのだろうか。まず、「本業がおろそかになる」については、「本業がおろそかになれば、給料を下げれば良い」。「情報漏洩の恐れ」は、「そもそも、副業をしなくても情報漏洩の恐れはある」。最後の「長時間労働を助長する」については、「副業は会社が強制するものではなく。自分の意思で行うもの。会社の課題ではない」。

 なぜ、副業を肯定していない会社は、これができないのか。それは、会社の労働資源に対しての価値観の違いだ! 肯定していない会社像は、社会からの需要を引き出すために、また、競合企業に打ち勝つために、更には、何となくしている内部留保のために、ギリギリなコスト・品質で供給をコミット。

 しかも、この時代に、何の理由もなく右肩上がりの売上予算。そのために、必要な経営資源である人、物、金、情報をなんとか確保する。社員が予定もなく勝手に副業をして、労働資源がなくなることは会社にとっては致命的だし、情報を漏えいする可能性が上がる副業は論外だ。ギリギリのコストで供給をコミットしたため、社員は過酷な労働を強いられ、金銭的な手当と会社の秩序と呼ばれる風土でなんとか社員を会社に引き留める。それは、時には会社の実態を隠蔽する結果になる。

 一方、副業に肯定的な会社像はどうだろう。会社は、副業者、そして、もし副業を通じて自然に辞めていく社員がいるのであれば、その実態から組織の健康状態を見える化できる機会をもつ。社員が辞めずにやる気をもってできる働きやすい環境と労働資源から、社会に貢献できる売上や供給されるもののコスト・品質を定義するという経営観だ。

 どちらが良い悪いではない。なぜなら、その製品・サービスの市場特質や競合環境によって取る手段が違うからだ。ただ、副業という社員が本業の企業とその他の組織を出入りする他流試合ができるしくみをもつことにより、会社と外の組織、社員のギャップを相対的に可視化できることは間違いない。これは、企業経営にとってとても大切! しかし、それには、経営者の今以上の覚悟が必要だ。

関連記事

新着記事

»もっと見る