メガヒット「踊る大捜査線」が
日本映画を変えた

フジテレビジョン・亀山千広取締役に聞く “踊る”ヒットを生み出す法 第1回


浜野保樹 (はまの・やすき)  東京大学大学院新領域創成科学研究科教授

1951年生まれ。工学博士。コンテンツ産業や制作に関する研究開発に従事する。主な著書に『大系 黒澤明』(講談社)『偽りの民主主義』(角川書店)『表現のビジネス』(東京大学出版会)などがある。(財)黒澤明文化振興財団理事、文化庁メディア芸術祭運営委員ほか。

東大教授 浜野保樹のメディア対談録

映画やアニメ・マンガなど、日本の現代カルチャーに詳しい東大大学院の浜野保樹教授。このコラムでは、教授の幅広い人脈を生かし、メディアにまつわる人との対談を掲載する。

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2013年5月15日、「亀山千広氏のフジテレビ社長就任の人事が固まった」との報道が一部でされています。「踊る大捜査線」のヒットを生み出した亀山氏とはどんな人物なのか、日本の現代カルチャーに詳しい東大大学院の浜野保樹教授が2010年に行った超ロングインタビューを、どうぞご覧ください。(編集部追記/2013年5月15日)

浜野保樹(東京大学大学院・新領域創成科学研究科教授) 亀山さん年末に向け仕込みの忙しい時にどうも。

亀山千広(フジテレビジョン取締役、映画事業局長) いえいえ、楽しみにしてました。

浜野 『踊る大捜査線』の劇場版3作目、「THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!」がいま公開中(対談実施時点)で、このシリーズの意味を改めて考えるところがありました。

 今日は日本映画を変えた人、ということで亀山さんからお話を伺いますが、ラインナップを見ると相変わらずいろいろですね。村上春樹原作「ノルウェイの森」がもうじき公開ですね。

 これはベトナム生まれのフランス育ち、トラン・アン・ユン(Tran Anh Hung)監督作品で、主題曲は文字通りビートルズの「ノルウェイの森」。

 でもこの先、例えば百年後に振り返った時、20世紀の後半の日本映画は誰によって変わったか、大きく変えた人は誰かというと、プロデューサーは2人いた。1人は角川春樹さん、そしてもう1人が亀山さんだった、と。

内容はもちろん、興行収入、プロモーション手法が映画史に多大なインパクトを与えた作品 「踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!」
スタンダード・エディションDVD ■発売元:フジテレビジョン アイ・エヌ・ピー ■価格(税込):¥3,990 ■発売日:2011年2月2日 (C)2010フジテレビジョン アイ・エヌ・ピー

亀山 はぁ。いえいえ。

浜野 どちらも、映画界のアウトサイダーだった。そして、ある1つの流れをつくった。

亀山 照れます。

浜野 『「踊る大捜査線」は日本映画の何を変えたのか』という本(幻冬舎新書)にまでなったくらい、「踊る」の前、そして後とでは、映画の全てが変わりましたよね。「踊る」とだけ言っても、一般の人に通じるくらい、大きな現象を引き起こしました。

亀山 そう言われますねえ、ちょくちょく。

浜野 いいことだけじゃなく、ね。

亀山 ええ。

浜野 やっかみも含めて、ってことですが。

史上に残るメディアミックス 
――角川映画と「踊る」シリーズ

浜野 私は亀山さんは、角川さんとはまた全然違う意味で映画を変えたと思ってます。角川さんの凄味は、1970年代半ばという当時、宣伝を大々的にテレビで打ち、

亀山 「読んでから見るか、見てから読むか」。

浜野 そうそう。

 いわゆるメディアミックスを先駆け的にやったところに異色があったと思うのですが、映画自体の制作は、あくまで映画人を使ってやった、それが角川さんでした。

 でも映画って、映画人でなきゃ作れないのか――劇場版「踊る」の第1作「THE MOVIE」は公開が1998年秋でしたけど、亀山さん、当時、あれは意図してのことだったんでしょうが、ある種刺激的なというか、挑発的な発言もなさってましたね。

亀山 そうでした。42歳のミソラでね。

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「東大教授 浜野保樹のメディア対談録」

著者

浜野保樹(はまの・やすき)

東京大学大学院新領域創成科学研究科教授

1951年生まれ。工学博士。コンテンツ産業や制作に関する研究開発に従事する。主な著書に『大系 黒澤明』(講談社)『偽りの民主主義』(角川書店)『表現のビジネス』(東京大学出版会)などがある。(財)黒澤明文化振興財団理事、文化庁メディア芸術祭運営委員ほか。

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