オモロイ社長、オモロイ会社

2018年3月7日

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杉浦佳浩 (すぎうら・よしひろ)

代表世話人株式会社代表

三洋証券株式会社入社(昭和62年)。鹿児島支店にて勤務。地元中小企業、個人富裕層の開拓を実施。 日経平均最高値の2カ月前に退職。次に日本一給与が高いと噂の某電機メーカーに転職。埼玉県浦和にて、大手自動車メーカー、菓子メーカー、 部品メーカー等の主力工場を担当。 退職時は、職場全員から胴上げ。そして、某保険会社に20数年勤務後、平成26年末に退社。在社中は、営業職、マネジメント職を経験して、リテール営業推進、若手人財育成を中心に担当していた。 社外の活動も活発に行っていた。平成27年1月1日、代表世話人株式会社を設立。
同社代表取締役に就任。世話人業をスタート。

今春19名、昨春13名が入社 社員全体で70名弱の会社で

 企業にとって、特に中小企業にとって、新卒採用は事業継続、事業拡大に大きな影響を及ぼす課題、この春の採用シーズンにどう対処すべきか? と頭を抱える経営者も多いと聞きます。その社会問題とも言える新卒採用で、いわゆる営業系会社でありながら、毎年採用計画通りに採用ができていて、内定辞退も少なく、さらに若年層社員の退職も少ない会社があります。不動産オーナーが主たる顧客であり、「賃貸マンション経営のキャッシュフロー最大化支援」を事業の柱に捉えて活動する、ブロードエンタープライズ中西良祐社長に話を聞きました。

 「うちの会社の事業に興味を持って入社してくる大学生は皆無、どんな仕事をするかはほとんど理解せずに入社してくる感じなんです」と笑顔で話す中西社長。まずは同社の事業の内容について。

中西社長(左から2番目)

 全国で賃貸マンション・アパートの経営をしている「オーナー」、「大家さん」が同社にとってのお客様です。同社のスローガンにある、「ひとくふうで笑みを」。具体的には、入居者が喜ぶサービス、「入居者無料インターネット設備」の設置・販売を中心に、賃貸経営における「コスト」を削減するサービス。

 また、オーナーが所有する賃貸物件の付加価値をアップするサービス、ITを駆使して、「賃貸経営ネット」の運営と、オーナーへのお役立ちを、リアルとネットを融合した事業展開をしています。

 入居者無料インターネット設備について、現在全国約3000棟、7万5000室に展開しています。大型マンションから、中々設備投資がしづらい戸数が少ない小規模アパートでも導入が進んでいます。その背景には、少子高齢化・供給過剰な新築物件・物件の老朽化による空室率の増加が挙げられます。

 コスト削減をオーナーに提案している同社、電気代の削減、ガス料金の削減、保守点検費用の削減、損害保険の見直しをすることで、オーナーのみならず入居者が喜ぶサービスを提供しています。電気代の削減には、照明のLED化、新電力会社と連携し、マンションの共有部の削減から各戸専有部の削減、プロパンガス、都市ガスの削減〜ガス設備の設置、エレベーター、キュービクル保守点検費用の削減等々、自社のノウハウだけでなく30社近くの連携企業と提携を結び、オーナーのコスト削減メニューを今後も増やしていくそうです。

 賃貸マンションの付加価値アップサービスについては、防犯カメラ、宅配ボックス、オートロック、民泊運用管理代行、家賃滞納回収代行、自動販売機、外装・外壁工事、各戸のスマートロック化、24時間駆けつけサービス、ハウスメーカー・デベロッパー・建設会社紹介、賃貸物件設備のIoT化等々と幅広く、物件の差別化、入居率の向上を提案、オーナーが喜ぶ価値提供を行っています。こちらも30社程度の企業がこの連携に関わりサービスを提供しています。

起業当初はどうだったか? 事業・採用について

 起業当初から今の事業であったかと言いますとそうではなかったそうで、2000年創業時はNTT西日本の代理店として回線販売を行い、通信機器やOA機器の販売、エリアも広がりNTT東日本の業務を受託。起業当初の3年は苦しい経営基盤でありながらも、販売力に定評があったことから、社員も増え、人数の最盛期では百数十名となっていました。給与体系は歩合給に偏重し、採用は中途採用のみ。会社としては業績も堅調だったそうです。

 その後も新規事業として、EC事業をスタートさせ、子会社で不動産事業、エステ事業と事業領域を広げていきました。ところが、起業から7年ほどが会社は順調でありながらもなにか違和感を持ち始め、事業や社員について真剣に再考する期間がこの頃にあったそうです。

  • 通信事業者として一流になりたいか? → 極めるとNTTになりたいのか?
  • IT企業として躍進したいか?
  • 不動産マーケットの中で管理会社になりたいか?

 このような自問自答を繰り返すうちに、賃貸マンションオーナーの課題解決、空室対策ができるコンサルティング会社を目指すこと、そこに事業の方向性を絞ることに決めました。そこから、新規事業であったEC事業・エステ事業・不動産事業、更に事業の主力であったNTTの回線販売事業も大幅に縮小することに。

 同時に、歩合制&中途採用中心であった雇用形態も一気に変革し、歩合制の縮小、新卒採用のみに大転換への道を選択しました。結果、30人以上が退職、売上の減少としたものの、覚悟を持って取り組んだそうです。

家族経営を目指したい

 中西社長はよく周囲に、「人生の大半の時間を過ごす職場も家族的な環境を創出しなければいけない」と話しています。前述の事業の方向性を変革とともに行った、雇用形態の大変革こちらも同時に行った背景には中西社長の生い立ちが大きく影響を及ぼしているそうです。

 ご両親が共働きで、わりと裕福な家庭に育ったと話す中西社長。転機は小学校5年の時、両親が突然離婚することに、その状況下であれば、父親か母親か何れかに引き取られることになるのが普通ですが、双方から引き取られることなく、年金暮らしをしていた祖父母の下で生活をすることに。その頃、小学生ながら、家庭の温もりに恋い焦がれ、憧れて、両親との再生活を望みましたが一度も実現することはなかったそうです。自身の強烈な体験から自身の会社も温もりある家族的な経営を目指したい、新卒で入社する親御さんから安心し、喜んでもらえる会社にしていきたいとそのためには抜本的な変革をすると決意したのが、事業の大転換と同時だったそうです。

 両親がいない中で育った中西社長ですが、自立することには役立ったと話します。相談するべき親がいなかったおかげで、何でも自分で考え意思決定する「癖」が早い段階で見についたことが良かったと。大学時代はその影響からか、飲食店の経営を友人と共同で行って事業家の片鱗を表します。就職活動にはあまり熱心になる時間もなかったそうで、大学卒業後は、100%歩合制の教材の訪問販売会社に入社、当初から実績を叩き出し、常に10位以内のトップ層にいたそうです。

 肩書もスピードに乗り、2年の最速で係長へ、ただ次の課長になるには入社後10年というルール、この決まりに納得いかずに転職。次に入社したのがNTTの代理店、こちらも「営業系」でした。社員数120名ほどの会社で、入社1 カ月で1位になる実績。ただこの会社の社長との意見の食い違いから退職することに。そこから独立起業の道を選択することになったそうです。

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