2024年12月22日(日)

From LA

2018年4月23日

 カリフォルニア州とトランプ政権の溝がますます深まりつつある。元々環境問題などで連邦政府とは異なる独自路線を歩む同州は、トランプ政権になってからのEPA(環境保護局)改悪など、政権自体とソリが合わない点が多い。

(gguy44/iStock)

 環境問題以外にも、元々中南米からの移民が多い同州は他州に比べて移民に対して優しい政策を取っていた。例えば不法移民であっても免許が取得できる、公立の学校で州民と同様の教育が受けられる、オバマケアなどの健康保険にも加入できる、など。特にサンフランシスコ、ロサンゼルスなどは聖域都市と呼ばれる移民に対する緩和策を以前から提供していた。

 トランプ政権になり移民への制裁を厳しくする一環として「聖域都市に対しては連邦政府からの助成金を減額、あるいは廃止する」というものがあった。これに反発したカリフォルニア州は一部の聖域都市を抱える州から「州全体として聖域政策を取る」、聖域州となることを宣言。

 環境問題では今年1月ブラウン州知事が「2030年までに州内に500万台のゼロ・エミッション・ビークル(ZEV)導入」の知事命令を出し、同時に25億ドルを支出して今後8年間に州内に25万ヶ所のEVバッテリーチャージステーション、200カ所の燃料電池車両用水素充電ステーションを設置することも発表した。さらにフランス、英国につづき「2040年以降州内でのガソリン、ディーゼルなど化石燃料を使った車両の販売禁止」を問う法案まで提出された。「地球温暖化は嘘」と主張するトランプ政権とは真っ向から異なる方針だ。

 こうしたことに加え、4月にはトランプ政権がメキシコとの国境を接する州に対して下した「州兵の国境地帯への派遣」を拒絶。政権にとってはことごとく政策に反する困った州となっている。

 そもそもカリフォルニア州は人口およそ4000万人、経済面ではGDP2兆3000億ドルで、世界の国家と比較しても5位という規模だ。州民1人あたりで考えると連邦政府からの助成金は年間6310ドルなのに対し、カリフォルニアが支払う連邦税は1人あたり7690ドルで、1380ドルの赤字状態。

 このことから、キャレグジット(Calexit)と呼ばれるカリフォルニアの独立運動が盛んになっている。Yes Californiaという団体が署名運動を行なっており、これにはシリコンバレーの資産家も一部賛同。今年11月の住民投票に独立への可否をかけることを目的としている。連邦政府から切り離されることで世界で5番目の国家となり、経済活動に拍車がかかる、というのがその理由だ。


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