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2018年3月8日

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土方細秩子 (ひじかた・さちこ)

ジャーナリスト

ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

 東京五輪を見据えて日本でも民泊を合法化の動きが出ているが、数年前からAirbnbなど民泊が盛んに行われている米国では、2015年の時点で既に立法化が行われている。特にAirbnb発祥の地であるサンフランシスコでは「短期ステイ型レンタル対策室」として、違反者を取り締まる動きもある。

(kropic/iStock)

 Airbnbが登場した時、多くの自治体は「違法である」という見解を示していた。特にホテル業界からの反発が強かった。これはウーバーのようなライドシェアサービスが登場した時、タクシー業界、リムジンバス業界などがこぞって反対した経緯に似ている。

 結局のところ解決策は同じで、ウーバーなどの場合はタクシー業界に準ずる税金を納めること、また空港乗り入れなどの場合もタクシーやバスと同様に乗り入れ料金を支払うことが義務付けられ、ようやく決着した。民泊も同様で、ホテルと同様の宿泊サービス税を納めることを義務付ける自治体が多い。

 現時点で民泊に対する扱いは自治体によって若干の差があるのだが、発祥の地であるサンフランシスコ市の例を挙げてみよう。同市では2015年2月1日に市内の民泊に関する条例が定められた。これ以前には「マンション、アパートなどの合同住宅での30日以内のレンタルは基本禁止」だった。

 では条例ではどのように民泊を位置づけているのだろうか。まず、民泊を行えるのは「サンフランシスコ居住者のみ」となっている。これは一軒家も同様で、貸し出しを行うユニットに「最低でも年に275日実際に住んでいること」が条件となる。つまり、民泊として貸し出しできるのは年に90日以内。民泊目的でアパートなどを所有する、オーナーがサンフランシスコ以外の場所に居住しビジネスとして民泊経営を行うことは禁じられている。

 もしこの制限を超えて貸し出しを行った場合、1日につき484ドルの罰金、さらに繰り返し違反を行った場合この罰金は最大968ドルとなる。ただしオーナーが現地に居住、つまりホームステイのような形での部屋貸しの場合は罰金対象とはならない。

 また、民泊を行えるのはオーナーが実際に住んでいる建物のみとなる。これは例えばアパート経営者が民泊の方が儲かるためにアパートの居住している人を退去させる、といった行為を防ぐためのものだ。リゾート地などに持つ別荘もこの条文により基本的に貸し出しはできないことになる。

 民泊を行う人は同市のレンタル対策室に事前登録を行い、250ドルの登録料を支払う必要がある。また市からビジネスライセンスを受け取る必要もある。この手続きを行った場合、市の短期レンタル登録リストに掲載され、Airbnbだけではなくあらゆる民泊サイトへの情報掲示が認められる。

 さらに民泊事業者には最低でも50万ドルの責任賠償保険加入が義務付けられる。Airbnbの場合は登録すれば自動的に100万ドルの保険がついてくるが、個人的に民泊事業を行う場合保険証の提示が義務付けられる。ホテルと同様に、部屋のドアの内側には火災報知器の場所、避難経路などを添付する必要がある。

 また、自身が賃貸物件に住み、それを民泊に充当する場合、自身が支払っている賃貸料金以上の額を請求してはならない、という条文もある。これに違反すると1日1000ドルの罰金、また市のリストから除外される可能性もある。つまり賃貸の場合、又貸しで儲けを得るのはご法度、ということだ。賃貸の場合は家主に対して民泊を行うことを事前に通知、許可を得る必要もある。

 最後に税金だが、サンフランシスコ市のホテルは宿泊料の14%を税金として納めることが義務付けられている。民泊もこれに従い市の財務局に登録、同率の納税が義務付けられる。ただしAirbnbのような大手サイトに登録している場合はサイト側から納税が行われるため、個人で行う必要はない。ちなみに現時点でサンフランシスコ市が業者として認め、納税対象としているサイトはAirbnbのみだ。 

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