WEDGE REPORT

2018年5月12日

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 ブロックチェーン技術の実用化の推進、技術者支援を目指し、ニュースメディア展開やデータ分析事業などを行うLONGHASH(ロングハッシュ=クリス・ダイ社長、本社・東京)がこのほど都内で設立発表会を行い、サービスを開始した。経済界のみならず政府も取り組みに注目しており、日本のブロックチェーン技術水準の底上げが期待されている。

(NicoElNino/iStock)

 ブロックチェーンは、ビットコインやNEM(ネム)など仮想通貨の取引や決済などの中核となっている技術で、日本語では「分散型台帳技術」とも表現される。ブロックチェーンの技術は、仮想通貨に限らず、幅広い分野での応用が期待されており、今後の社会を大きく変革する可能性を秘めていることから、世界中で注目されている。

 ところが、残念なことに、日本はこの分野で国際競争に立ち遅れているとの懸念が高まっている。なぜ日本にはブロックチェーン技術が不足しているのか? その最大の理由は日本にフィンテック(ITを活用した新しい金融サービス)への投資が少ないことにある。フィンテックの投資規模は中国のわずか1・5%程度にすぎないという調査結果もある。

 さらにもう一つ背景にあるのは、日本国内での担い手(技術者)不足である。もともとブロックチェーンのエンジニアは、海外では「P2Pファイルシェア」のプログラマーが多い。なぜならブロックチェーンはP2Pの技術を用いて構築されている分散型ネットワークの一つだからだ。しかし日本では、この分野は著作権問題などがからむグレーゾーンだったため、これまでプログラマーが個人として、あるいはベンチャー企業として積極的に開発に携わっていなかったという事情がある。大企業ではなおさらそうした傾向が強く、ブロックチェーン技術に縁遠い時間が長かった。その結果、諸外国に比べて最先端の技術に対応できる人材の厚みに欠けてしまっている点は否めない。

 日本の経済産業省の資料によると、現在、先端IT人材が約1・5万人不足しているが、2020年にはそれが約4・8万人不足すると見込まれている。情報セキュリティ人材も、現在約13・2万人の不足が、2020年には約19・3万人もの不足に拡大すると推計されている。

 アメリカや中国ではベンチャー企業に対する投資が多く、エンジニアは大企業に属さなくても個人で活躍でき、仕事の機会も豊富にあるのが特徴だ。

 その一方で日本は、ベンチャー企業への投資が少なく、エンジニアは大企業に依存するしかない。そのため先端・先進的な取り組みをスピード感を持って進めることはなかなか難しく、そうした環境ではブロックチェーンに限らずフィンテック全般が育ちにくいのは明らかだ。

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