進化する「食」

2018年5月19日

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国際会議誘致に食べ物が果たす役割は絶大

 「会議は踊る」というとても古い映画があります。このタイトルは「会議は踊るされど進まず」という言葉からとったものだそうですが、国際会議の誘致や進行において、食べ物がとても重要なカギを握っていることをご存じでしょうか。

(Baluchis/iStock)

 国際会議といっても、一般の人にはあまりなじみのない世界で、誰がどのように誘致しているのかはあまり知られていないように思います。誘致には、政府観光局、各自治体の担当部署のほかさまざまな支援機関や団体が関わっています。

 この国際会議の開催については、実は世界各国でし烈な誘致合戦が繰り広げられているのだそうです。それも、誘致から会議開催までには8年以上、場合によっては10年近くもの期間がかかるということで、立候補提案書類の作成からロビー活動、プレゼンテーションなど細部にわたる計画を一つひとつ積み上げていく非常に緻密な作業が必要とされる仕事だということです。

 冒頭から国際会議誘致の専門家の方に伺ったお話の受け売りで恐縮です。しかし、このように手間暇かかる国際会議において、食の果たす役割が非常に大きいと伺った際には得心しました。食べることはコミュニケーションとリラックスには多大な効果がある、と私は常々思っていましたから、まさに「会議は食べるだ!」と思ったのでした。

食べる機会が意外に多い国際会議

 一般的な国際会議ではまずモーニングセッションがあり、その後コーヒーブレイクをはさんでセッション、ランチ、その後のセッションの後には再びコーヒーブレイクと、会議の合間には休憩や食事がはさまれます。そのほかにも、ウェルカムレセプションやガラディナーといった飲食の機会がありコーヒーやワインを片手に、あるいは食事をしながら会話を楽しむのが習わしです。国際会議は、食べる機会がとても多いのです。

 その内容ですが、コーヒーブレイクではコーヒーや紅茶、ソフトドリンク、クッキー、プチケーキ、フルーツなどが提供されます。ウェルカムレセプションではカナッペなど手でつまめる軽食やワイン、ソフトドリンクなど。ガラディナーは前菜、メイン、デザートといったコースにワインなどの飲み物が供されることが一般的です。

 提供される側は目も舌も肥えている人たちですから、誘致の際のプレゼンテーションはとても重要になります。どのような食べ物を提供するのかも誘致成功のカギを握るのだそうです。会議のためにわざわざ海外に出向くのですから、その国や地域の食べ物を味わいたいと思うのは、誰でも同じはずで、その要望をどれだけ汲み取り、叶えられるかが誘致する人の腕の見せ所なのでしょう。

 2014年に、アメリカのナシュビルで開かれた栄養の国際会議でブレクファーストミーティングに参加した際に、テーブルに並べられた料理のディスプレーを見て感心させられたことを覚えています。朝食ですのでメニューの内容はいたってシンプルなのですが、全粒粉のマフィンや焼き立てのパン、地元テキサス州の放し飼いで育てられた鶏の卵とチェダーチーズを使ったブリトー(小麦粉で作られたトルティーヤに具材を乗せて巻いたテキサス州独自のメキシコ風料理)、ヨーグルトにグラノーラ、新鮮な果物をふんだんに使った色とりどりのフレッシュジュースは、見ているだけで「エネルギー」が湧いてくる気がしました。

 油っこい料理が多くなりがちなホテルの朝食ビュッフェですが、食と健康に気遣う私たち参加者のニーズに配慮した「おもてなし」の一例といえるでしょう。

 ホテルなどでは、国際会議用にメニューもパッケージになっており、あとは予算次第というケースも多いようですが、それでも一工夫は必要です。もちろん、特別食や宗教食への対応も考えなければなりません。

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