2024年11月25日(月)

日本を味わう!駅弁風土記

2011年4月28日

 さらに、米どころである新潟県の駅弁であるから、クールに香るコシヒカリの日の丸御飯が素でうまい。鮭の焼漬に負けない大きさを持つ玉子焼とカニクリームコロッケが、川の字を描いてトレーにぴったり収まる姿も、この駅弁の特徴であると感じる。

東京駅でも人気を集める非凡さ

 新幹線と高速道路の時代になり、全国から鉄道の街はほぼ消えた。新津市は2005(平成17)年に新潟市へ編入され、今は新潟県新潟市秋葉区となっている。新津からは国鉄の機関区や操車場が消え、上越新幹線の開業で特急列車や急行列車の発着が減り、国鉄そのものも消滅してJRに変わった。駅舎も2003(平成15)年に橋上へと改築され、名実ともに旅の駅から都市近郊の駅へと変化したように見える。

 新津駅の駅弁屋は2社が盛業中であるが、その主戦場を新潟駅に求めているのだろう。新津駅や新潟駅には、SL弁当や牛めしのような見栄えも味も優れた新しい駅弁がたくさんある。その中で鮭の焼漬弁当は、見栄えがしないのに存在感を醸し出している。首都圏の東京駅や大宮駅へも日常的に輸送されているのだが、幕の内の駅弁が遠隔地でも人気を集めるケースなど、そうあるわけではない。鮭の焼漬弁当を食べることは、旅や鉄道や駅弁の通の楽しみであると思う。

※次回は、5月12日(木)更新予定です。
どうぞお楽しみに!

福岡健一さんが運営するウェブサイト「駅弁資料館」はこちら
⇒ http://eki-ben.web.infoseek.co.jp/


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