WEDGE REPORT

2011年4月27日

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 「3月11日、緊急地震速報が届いたのが地震発生の約60秒前でした。その後すぐに校内放送を流し、40秒前には生徒たちが安全な場所に身を寄せ、地震に対処することができました」。

 板橋区立高島第一小学校の矢崎良明校長先生は、神妙な面持ちでこう語った。

緊急地震速報で避難訓練

 都営三田線の高島平駅から徒歩約5分、緑溢れる住宅地の中に高島第一小学校はある。取材に訪れた日は天気も良く、校長室からは休み時間に楽しそうに校庭を駆け回る子どもたちがたくさん見られた。

 「地震発生時、生徒は様々な場所にいました。校庭にいた子どもたちは、緊急地震速報を聞いて一斉に(校庭の)真ん中に集まり、廊下にいた子どもたちは、真っ先に太い柱の陰に身を寄せました」。一見普通のことのようにも思えるが、「緊急地震速報を聞いて」というのがポイントだ。高島第一小は、以前から緊急地震速報を活用した避難訓練に力を入れてきた。

 通常、小学校で行われる避難訓練をイメージしていただきたい。朝、担任の先生から「今日は地震の避難訓練があります。放送の指示に従って避難しましょう」という指示が出され、訓練の時刻になると放送が流れる。「地震です。地震です。机の下に隠れましょう」。その後、「揺れがおさまったようです。校庭に避難しましょう」と、子どもたちは防災頭巾を被って校庭に集まる。ご存知のようにこれが一般的な避難訓練だが、矢崎校長はこの訓練の矛盾を指摘する。

 「通常の訓練では、放送が流れた時点では既に地震が起きているということになります。これでは大きな揺れに備えることができませんし、そもそも先生たちが放送できる状況とも限りません」。また、いつも必ず校庭に避難するやり方についても、「避難途中に再び地震が起きた場合など、子どもたちがパニックになったり、物が落ちてきたり、かえって危険なケースもあるでしょう」と、形骸化した避難訓練ではなく、より現実に近く、実効性のある内容で実施する必要があると力説した。

 では、高島第一小ではどんな避難訓練を行ってきたのか。

「落ちてこない・倒れてこない」

緊急地震速報画面。取材中も予測震度3以下のものを数回感知していた。 写真提供:板橋区立高島第一小学校

 まず、一般的な学校の避難訓練との違いは、「緊急地震速報」を利用するという点だ。高島第一小学校には、文部科学省からの受託研究で東京大学地震研究所らが首都圏249ヵ所(2010年末時点)に設置した地震計の一つがある。この地震計を設置した学校には緊急地震速報も設置され、利用できるようになっているのだ。高島第一小学校の校長室と職員室のパソコンには、緊急地震速報の画面が常時映し出されており、速報が出されると、予測震度や地震発生までの時間、震央などが詳細に記される。これを利用して、避難訓練が行われるのである。

 訓練は年間で5回実施され、告知する場合が3回、抜き打ちの場合が2回あり、どちらの場合も、緊急地震速報の警報音を校内放送で流し、地震発生まであと何秒かが伝えられる。その上で、子どもたちは自身の身の安全を確保する。

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