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2018年7月31日

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中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。72年共同通信社に入社。88年から91年までニューヨーク特派員、経済分野を取材し、編集委員を経て2010年に退社。現在は経済ジャーナリスト。著書は「ジャパンマネーの奔流―ニューヨーク・東京・ロンドンの24時間」(1987年、ダイヤモンド社)、「日本買い 外資は何を狙っているか」(2005年、PHP研究所)など。

(Petri Artturi Asikainen/Gettyimages)

 長年にわたり不動産市場をウォッチしてきた、みずほ証券の石澤卓志上級研究員は首都圏のマンション価格が昨年まで上昇したことについてこう話す。

 「都市部の地価が上がっているが、天井感が強まっている。マンションの価格の上昇幅は縮小し、一部エリアでは反落するだろう。来年秋の消費税増税後は、価格は若干下がるが、日本の不動産市況が暴落することはない」

 ただし、不動産は「いまは売り時ではあっても、買い時ではない」との見方を示す。

高齢化で地価下落

 石澤氏は、マンションの資産価値を重視すべきだとしている。

 「東京駅を起点に20キロ圏内のマンションは実質的な資産価値は下がらない。東は船橋、北はやや延びて大宮、南は横浜を起点に藤沢まで、西は少し悩むものの立川辺りまでは資産価値は毀損しないだろう。これからは住み替えが増えるので、マンションの購入を投資と考えて、転売しても資産価値が目減りしないようにすることが肝心だ」

 2018年の公示地価を見ると、大都市圏で人口減少・高齢化の進行した地域での地価下落が目立っている。千葉県柏市大室の調査地点は前回調査で全国・住宅地の下落率トップで、今回調査でも東京圏・住宅地の下落率6位となった。この地点には1980年代に販売が開始されたニュータウン「柏ビレジ」があり、団地で高齢化が一挙に進行したため下落率が大きくなったとみられる。千葉県や埼玉県では、常磐線沿線からつくばエクスプレス沿線に人口が移動し、駅前商業地が空洞化した例も増えているという。

見直される「西高東低」

 「首都圏のマンションはいま、三極化してきている。1番目が都心の高級マンションで価格が高いものの、投資目的の需要もあり、よく売れている。2番目が都心を外れた23区で、勤労世帯の実需は相対的に価格が安い北東部の荒川、北、江東区に移ってきている。3番目が郊外の物件で、中でも駅から離れたマンションは売れ行き不振なものが多い」と分析する。その一方で「2025年までは東京の人口は増える。外国人が増えることで、いままで評価の低かったロケーションも良くなる可能性がある。新宿・歌舞伎町などはその例ではないか」

 と、インバウンド効果も無視できないとみている。

石澤卓志(いしざわ・たかし)1958年生まれ。81年に日本長期信用銀行に入行。98年第一勧銀総合研究所で上席主任研究員。2001年みずほ証券に転じ、金融市場調査部チーフ不動産アナリスト。14年7月から上級研究員。主な著書に「東京圏2000年のオフィスビル 需要・供給・展望」(東洋経済新報社)、「東京問題の経済学(共著)」(東京大学出版会)など。

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