WEDGE REPORT

2018年8月15日

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8月13日イスタンブールのグランバザール内の両替所(AP/AFLO)

 トルコと米国の対立が先鋭化、リラ・ショックを招くなど世界市場を動揺させている。対立の要因はトルコが拘束中の米牧師の釈放を拒否したことだが、その背景にはトランプ大統領がエルドアン大統領に約束を反故にされた、とぶち切れたことがある。同盟国を軽視するトランプ氏の振る舞いはトルコをロシアに接近させており、「外交素人の愚策」(専門家)との批判を生んでいる。

発端

 発端はトルコに23年間も在住しているキリスト教福音派の米国人牧師アンドルー・ブランソン(50)氏が2016年10月、その夏のクーデター未遂事件に関与したとして、拘束されたことだ。同牧師は今年7月に刑務所から自宅軟禁に移されたが、厳しい監視下に置かれていることに変わりはない。

 トランプ大統領は6月のブリュッセルでの北大西洋条約機構(NATO)首脳会議の際、エルドアン大統領と個別会談し、牧師の釈放問題について話し合った。トランプ氏はその時、当時イスラエルに拘束されていたトルコ人女性の釈放をわざわざイスラエルに働き掛け、女性を釈放する手助けまでした。

 米紙によると、トランプ氏はエルドアン氏が会談で、牧師の釈放に同意したと受け取ったが、その後も釈放されず、約束を反故にされたと思い込んだようだ。釈放のシナリオは、牧師と米国で投獄されているトルコ人銀行家を交換しようというものだ。銀行家は対イラン制裁に違反した容疑で逮捕されている。

 トルコは8月、高級代表団をワシントンに派遣し、サリバン国務副長官らと釈放問題について協議した。米側はこの際、牧師を8月8日までに釈放するよう最後通告、トルコ側は対イラン制裁違反に関連して、トルコの銀行をこれ以上捜査しないよう要求した。結局、協議は不調に終わった。

 トランプ氏が牧師の釈放にこれほどこだわるのは、牧師が福音派に属しているからだ。福音派は米有権者の25%を占める同氏最大の支持基盤。11月6日の中間選挙に向け、牧師を釈放させてアピールする政治的な思惑があった。しかし、この思惑が外れ、トルコへの怒りが爆発したようだ。

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