WEDGE REPORT

2018年8月26日

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 かつての信頼していた腹心が相次いで裏切り、法廷で不倫もみ消し工作などを暴露、トランプ米大統領は就任以来最大の窮地に追い込まれている。大統領は「不正な魔女狩り」と強く反発しているが、議会が夏季休暇を終えて再開する9月には、新たな裁判も始まって追及がさらに本格化することが予想され、「大統領の弾劾」という声が高まりそうだ。

(AFP/AFLO)

“金庫番”も陥落

 トランプ氏にとって、何といって痛かったのは元顧問弁護士マイケル・コーエン氏(51)のニューヨーク連邦地裁における8月21日の爆弾証言だ。同氏は捜査当局と司法取引した上で、8つの罪を認め、2016年の大統領選挙直前の10月、「大統領候補者」(トランプ氏)の指示で、トランプ氏の不倫の口止め料としてポルノ女優ストーミー・ダニエルズさんに13万ドルを支払ったことを暴露した。

 しかもコーエン氏はこの支払いが選挙に悪影響を与えないためだったと証言し、選挙資金法に違反していることを認めた。トランプ氏の指示による支払いであれば、同氏も「共謀共同正犯」の可能性が強まる。コーエン氏はプレイボールのモデルだったカレン・マクドゥーガルさんにも間接的に15万ドルの口止め料を払った、という。

 トランプ大統領はコーエン氏の証言を「捏造」と非難する一方で、支払い自体の犯罪性を否定。支払いについては「後で知った」ことであること、出所が選挙資金ではなく自分のカネであること、コーエン氏がそれを勝手に使ったものであること、などと弁明した。さらに同氏が司法取引に応じたことに余程頭にきたのか、「寝返り行為は違法にすべきだ」とやけっぱち気味の主張さえした。

 しかし、大統領はこの疑惑が浮上した当初、そもそも不倫自体を認めず、支払いについても知らないと強弁していた。だが、これが「うそであったことが明確になった」(米有力紙)。コーエン氏はトランプ氏の汚れ仕事を引き受けてきた腹心中の腹心。大統領に向けられた銃弾は自分が受けるとまで言ってきたが、司法取引に応じなければ、何年も服役するという捜査当局の圧力に屈した形だ。

 トランプ氏を裏切ったのはコーエン氏だけではなかった。米紙によると、大統領とたびたび食事を共にし、口止め料の経緯を知る親しい友人だった「アメリカン・メディア社」の経営者デイビッド・ペッカー氏が刑事免責と引き換えに検察当局に捜査協力することに同意した。

 さらに、トランプ氏の複合企業「トランプ・オーガニゼーション」のアレン・ワイセルバーグ最高財務責任者が検察当局に情報提供する見返りに刑事免責を受けたことも判明した。同氏はトランプ氏の“金庫番”として知られ、1970年代にトランプ氏の実父フレッド氏の会計士になった。

 ワイセルバーグ氏は息子のトランプ氏の時代になっても、同企業やトランプ氏個人の経理を任せられ、表と裏のカネの流れを把握している人物。特に、同社はコーエン氏がポルノ女優のダニエルズさんに支払った口止め料13万ドルの返済金として、ボーナスを含め42万ドルを同氏に払っており、ワイセルバーグ氏はこの経緯を詳細に知る立場にあった。

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