ベストセラーで読むアメリカ

2018年9月13日

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■今回の一冊■
Liars, Leakers, and Liberals
筆者 Jeanine Pirro
出版 Center Street

 トランプ大統領のことを手放しで礼賛する本がアメリカで大人気だ。書いたのは保守系メディアのFOXニュースで活躍する女性コメンテーターのジェニー・ピロだ。検察官や裁判官も務めた経歴を持つピロの舌鋒は鋭い。トランプを批判する人たちを、書名にある通り、Liar(嘘つき)、Leaker(不法に情報漏洩するヤツ)などと切り捨てる。

 筆者のピロは長年、トランプ一家とプライベートの付き合いがあり、トランプの子供たちのことも含め、素晴らしい人たちだと大絶賛する。本書のサブタイトル The Case Against the Anti-Trump Conspiracy がそのままズバリ示すように、ロシア疑惑などトランプをめぐる悪材料はすべて、アメリカの国家治安当局も加担する反トランプ勢力による陰謀だと批判する。

主要メディアはトランプ政権を批判し続けているが……(写真:AP/アフロ)

トランプ支持者たちの思いを代弁する本書

 ここで最も重要なのは、本書の内容の妥当性ではない。こんなトランプ礼賛本がアメリカでベストセラーとなっている現実そのものに意味がある。本が売れるということは、内容に共感する人がそれだけたくさんいるということだ。本書はニューヨーク・タイムズ紙の8月5日付の週間ベストセラーリスト(単行本ノンフィクション部門)で初登場し堂々の1位につけた。7週連続でのランクインとなった9月16日付リストでも6位となっている。

 主要メディアによる報道をみると、トランプ政権への逆風は強まるばかりだ。政権の内幕を暴露する本が出版されるたびに、伝統的なメディアはトランプ政権の危機をあおる。しかし、手放しでトランプを礼賛する本書を買い求めて読むアメリカ国民がたくさんいる事実を見逃してはいけない。トランプ人気の根強さを示す。本書はまさに、トランプ支持者たちの思いを代弁してるからこそ売れているわけだ。例えば、次のような一節が、トランプを大統領選の勝利に導いた支持者たちの典型的な思いのひとつかもしれない。

 To be sure, Trump was not your typical, politically correct candidate. Unlike the two-faced parasites in Washington, he really wanted to make America great again. They tagged him with every negative characterization they could. They called him a fascist, a racist, and twisted everything he said. Why? Because he was a threat to the greedy, corrupt Washington insiders who had captured our government.

 「たしかに、トランプは伝統的な清く正しい大統領候補ではなかった。ワシントンに巣食う二枚舌を使う者たちとは違って、トランプは本当にアメリカを再び偉大な国にしたいと思っていた。政界の寄生虫たちはありとあらゆる悪名をトランプにきせた。トランプのことをファシストや人種差別主義者と呼び、トランプが言うことすべてを曲解した。なぜだろうか? 政府を支配する欲深くて堕落したワシントン政界のインサイダーたちにとって、トランプが脅威だったからだ」

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