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2018年9月24日

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土方細秩子 (ひじかた・さちこ)

ジャーナリスト

ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

 ライドサービスの大手、リフトが米ロサンゼルス近郊のサンタモニカで電動キックボードの貸し出しサービスを開始する。電動キックボードのサービスそのものはサンフランシスコでBIRD社が開始、全米に広げるなどポピュラーになりつつある。リフトはコロラド州デンバーで最初のサービスを開始したが、テストケースとして激戦区であるサンタモニカに投入することになった。

BIRD社の電動キックボードサービス(REUTERS/AFLO)

 人気が出る一方で様々なマイナス面も指摘されているのが電動キックボードだ。ほとんどのレンタル会社が1ドルの初期費用に加え1分ごとに15セント程度、という低コストなのだが、車体の小ささゆえに盗難、破壊行為などが絶えず社会問題にもなっている。一部にはサンフランシスコで起きたグーグルバスへの反発のように、新しい技術や動きに対する反感がある、とも言うがユーチューブなどで電動キックボードを破壊する様子が動画で掲載されたり、と愉快犯的な部分も大きい。

 そんな電動キックボードになぜリフトが参入しようとしているのか。それはライバルであるウーバーがレンタル自転車、キックボードの導入に積極的なためだ。ウーバーでは早ければ来年にもロサンゼルス空港と周辺地域を結ぶウーバー・エア、空飛ぶタクシーを導入する、としているが、将来の事業ブランとしてこの空飛ぶタクシーと共に電動自転車、キックボードを事業の柱にしていく考えを明らかにしている。

 ちなみにウーバーの空飛ぶタクシーはNASA、米陸軍からの注目も集め、現在この三者が提携してより良い形での空飛ぶタクシー開発に着手している。軍にとっては兵士をより早く効率的に移動させる手段となるし、NASAにとっても宇宙航空全体から考えて小型のVTOL(垂直離着陸可能な航空機)の開発は有用である、という考えだ。

 ウーバーが自転車や電動キックボードを重要視するのは、「ラストマイル・ソリューション」にふさわしい乗り物として注目しているためだ。ウーバーでは現在これまでグーグルマップに頼っていた交通情報を独自開発することに注力している。交通に関するデータを自社で開発することにより、顧客がマップを見て目的地までの道路が混雑、あるいは事故情報などを得て「配車サービスを頼むよりも自転車あるいはキックボードで移動した方が早い」という判断が行えるようになることが目的だ。

 ウーバーの交通マップはこれまでの同社のトリップデータの歴史、実際の交通量のドライバーの携帯GPSによるリアルタイム分析によって行われる。ユーザーがウーバーの予約をする際に、目的地までのルートが示されるがそのルートに緑、オレンジ、赤で道路の混雑具合を表示する。ウーバーでは「このサービスによりユーザーが自分で車を呼ぶかどうかの判断を行える、もし車を呼んだとしてもそのライドが渋滞により時間がかかってもある程度納得できる」としている。

 たとえばそれが10キロを超えるような距離の移動であれば、ユーザーは配車サービスなのか公共交通なのかを選択できる。公共交通を選んだ場合、その停車駅までの間が「ラストマイル」になるのだが、その部分についても電動キックボードにするのか配車サービスにするのか、という選択が可能だ。ウーバーでは1つのアプリで公共交通のスケジュールもチェックできる「交通に関するワンストップアプリ」を目指しているが、交通データの提供もそうした総合的サービスに含まれることになる。

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